約 1,837,604 件
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/278.html
狩 ◆T0SWefbzRc 獲物は二匹。共に機体の動きがぎこちなく、如何にも馴れてないのが目に取れる。 機体の性能は未知数だが、中の人間があれならば問題はないだろう。しかし。 「何の冗談だ。あの小さいのは兎も角、あんなもんが空から降りてくるってのは」 立ち並ぶ岩山の梺に立つ巨大な白い機体。その影に隠れるように青い戦闘機。二機の機体が、そこには停留していた。 「移動しながら話せれば良かったんだろうけど、私、操縦に不馴れで。 機体の性能が良すぎて逆に手に負えないんです」 「ううん。私だって空を飛ぶ乗り物なんて動かしたことなかったし。それより良かった」 「何がですか?」 「最初に会った人が優しそうな人で」 最初に会った人。私が『ここ』に来て最初に会った人は…。 頭に浮かんだその姿を、黒髪の少女、カティア・グリニャールは胸の奥にしまいこんだ。 「私も良かった。ここであなたのような子に会えて」 死んだ人間の事を持ち出しても徒に不安を煽るだけ。 ましてやそれが自分達と同じくらいの少女というなら、尚更に。 注意を促す為にはいつかは話した方がいいんだろうけど、それは今じゃない。 出来る限り相手の少女を安心させてあげられるように笑顔を作り、カティアは言葉を続けた。 「ソシエさん、でいいんですよね」 「ソシエ、って呼び捨てでいいわ。アナタの方が年上みたいなのに、何か変だもの。その敬語も」 「じゃあ、ソシエ」 「うん。カティア」 こんな簡単な事でも、モニターの向こうの栗毛のショートカットの少女は嬉しそうに笑っている。 あの少女も、生きていればきっと。 「本当は機体から降りて話しが出来ればいいんだけど」 「しょうがないよ。他に誰かいるならいいけど、私達だけじゃ降りちゃったらもしもの時心許ないし」 「そうね」 「そんな顔しないでよ」 言われて気付く。相手を安心させようと笑いかけたのに、こんな些細なことでそれを崩してしまっている自分に。 「ほら、建物も近いんだし。きっと、あそこに行けば他にも人がいるよ」 それどころか、逆にソシエに励まされていた。 「ふふ、ありがと。私の方がお姉さんなのにね」 「え、何?」 「貴方に会えて良かったってコト。」 「それ、さっきも聞いたよ」 「ええ、そうね」 どうやら、動くらしい。何故かここでは索敵機器が碌に働いていない。 自分の仕事くらいキチッとしろってんだ。機械に言っても仕方の無い事だが。 うまく岩山に隠れればあんな連中やりすごすのは訳ないが…。 「それじゃあ面白くねぇな。一丁仕掛けるか」 言いながら、このゲームの中の殺戮者、ガウルンは岩山から飛び出した。 『チッ、ウマくねぇな』 辛うじて繋げた通信の向こうで、下打ちが聞こえた。 「いきなり、なんで!」 なんで?そんな事は解っている。 モニターに映る男の、心肝が冷えるようなドス黒い眼。 『なんでって、そんなモン』 男の乗っている、黒い機体の足が地面をえぐる。 まるで消えたように見える程の突進。 「クッ!」 カティアは相手の姿を確認するより早く、機体を変形させる。 『みりゃあ分かるだろうがぁぁ!!』 叫びとともに暗い影を引き連れ現れた悪魔は、ボーゲルの背後から手刀を振り下ろした。 「きゃっ!?」 『おっ!?』 しかし、それは空を切っただけだった。 戦闘機から手足が生え、奇妙に足間接が逆向きになっている状態、ガウォークモード。 カティアが変形させたその形態がホバー機能で地面を滑るように急発進しため、ガウルンの攻撃を運良く避けられたのだ。 「うっ、く…!」 なんとか変形は出来たが、それを操縦出来るかは別の話だ。 ましてや彼女は単独で機動兵器を動かした事は無い。 訳の分からないまま、フラフラと岩山から離れていく。 『なんだそりゃ、面白れぇな』 薄ら寒く笑うその姿を見て、これ以上無意味とカティアは男との通信を切った。 『カティア?』 刹那、ソシエとの通信が繋がった。 「ソシエ!大丈夫!?」 なんとか機体の操縦を持ち直し、大きく旋回させながら話を続ける。 『分からない、何なの!?』 少し前、岩山か突然飛来した黒い弾丸(言うまでもなく、跳躍しブースターを全開に噴かしたマスターガンダムである)が、ソシエのドスハードを貫いた。 そして、そのままボーゲルの方に向き直り、先の通信に入ったのだった。 「落ち着いて、大丈夫だから…」 視界の端に映る黒い影。カティアは操縦竿をデタラメに動かし、機体を無理矢理方向転換させる。 巨大な足が、尾翼をかすめて空を切った。 『カティア!!』 「大丈夫よ、心配しないで」 ソシエとの距離も稼げた。 このまま、機体を戦闘機形態、ファイターモードに移行させれば離脱出来るはず…! カティアはそう考え、操縦系に手を掛けた。 「おいおい、そう何度も外すと思ってんのか…」 男の声が聞こえた。通信は切ってあるから、おそらくオープンチャンネルで拡声しているのだろう。 「よォ!!」 「きゃあ!?」 耳障りな金属音が鳴り響き、機体が激しく揺れる。 「クク、つーかまーえ…」 「カティアァァーッッ!」 突然、地面に陰が落ちた。 「ソシエ!!」 「わあぁぁ!!」 ホワイトドールが上方から急降下し、ドスサーベルを突き下ろす。 「ちぃっ…!!」 ただのサーベルとはいえ、機体の体長差が二倍以上あるので当たれば致命傷は免れない。 男の機体は手を離し、大きく後ろに飛び退いた。 「今っ!」 カティアはそのままホワイトドールの急上昇に転じるのを確認するとともに、ガウォークを発進させた。 「よし!」 速度は充分。後はファイターモードに移行して…。 「きゃあっ!?」 機体が、突然ガクンと揺れた。 「捕まえたって、言ったろォ?」 機体後部を見ると、巨大な手が有った。 指の先端の、尖った爪のような部分が食い込み、ガッチリと掴まれている。 「ディスタントォ!クラッシャー、てかあぁぁぁ!!!」 男は腕から伸びる紐状のビームを思い切り引っ張り、ボーゲルをたぐり寄せる。 「カティア!」 それを見て、ソシエは再び降下しようとした。が。 『駄目っ!!逃げて!!』 それをカティアが制した。 『大丈夫、逃げるくらいなら私だってなんとか出来るから、行って!!』 「そんなこと…」 話す間に、黒い機体にボーゲルは引っ張られて行く。 どうしよう?どうしよう?どうする?どうしよう?どうしようどうしようどうしようどうしよう? 『逃げなさい、ソシエ!!』 夢中でホワイトドールを飛ばしていた。 気が付いた頃には太陽が地平に飲み込まれそうなくらいに沈んでた。 「なんで…」 なんで逃げてしまったのだろう。カティアを置いて。 立ち並ぶ建物、きれいに伸びた、石の道。 最初の予定通りの場所には辿り着けた。 「カティア?カティア…?」 当然、返事など返ってこない。 「ロラン?お姉様、ギャバン?」 そもそも居るはずもない。 「ねえ、誰か…」 暗くなってきた市街地を、片腕が欠けた白い巨人はただただうろつき続けるだけだった。 【カティア・グリニャール 搭乗機体:VF22S・Sボーゲル2F(マクロス7) パイロット状況:不明 機体状況:不明 現在位置:D-6 第一行動方針:ガウルンからの逃走 第二行動方針:仲間を集める 第三行動方針:統夜、テニア、メルアを見つける 最終行動方針:ゲームからの脱出】 【ソシエ・ハイム 搭乗機体:機鋼戦士ドスハード(戦国魔神ゴーショーグン) パイロット状況:茫然 機体状況:左腕を欠損、運用には支障なし 現在位置:D-7 第一行動方針:カティアの救出 第二行動方針:仲間を集める 最終行動方針:主催者を倒す】 【ガウルン 搭乗機体:マスターガンダム(機動武闘伝Gガンダム) パイロット状況:癌によりかなりの体調不良。やる気は十分。病状はなんとか戦闘可能な程度には落ち着いている。 機体状況:全身に弾痕あり。装甲がへこんだ程度なので戦闘は支障無し。DG細胞があるかは不明だが、現在は活動していない様子。 現在位置:D-6 第一行動方針:カティアをどうするか決める 第二行動方針:近くにいる敵機を攻撃 最終行動方針:皆殺し】 ※カティアがどうなったのかは次の作者さんお願いします。 本編65話 パンがなければお菓子をお食べ 本編73話 『歌』に振り回される人達 本編74話 堕ちた少女
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/99.html
血に飢えた獣達の晩餐 ◆Nr7qwL8XuU 手足をもがれ瓦礫に埋もれたドスハードの中、ソシエは瞬く間に変わっていった自身の状況を整理しようとつとめていた。 さっきまで交戦してたあの赤マフラーは間違いなく敵だ。 それにとどめを刺されかけたところを助けてくれた腹ペコのちっちゃいのは多分味方。 ということはそれと交戦してる赤いのは多分敵で、赤マフラーと戦ってる小型機と残りの航空機は・・・・・・あっ、ダメ。こんがらかってきた・・・。 通信機がまともに動けば状況把握も楽なのだろうが、どうも壊れてしまったらしくノイズ音の他に流れてくる音はなかった。 まっ、どうせ動けないんだから考えても仕方ないか・・・。 敵味方の認識をあきらめたソシエはどうにかなるさと気軽に考え、若干投げやりな様子で支給品の袋に手を伸ばした。 中からドンキーのパンとドロシーのコーヒーなる缶コーヒーが出てきた。 一口飲んでその甘さに咳き込んだソシエはそれを無視するとパンを頬張った。 横薙ぎにはらわれる円の動きと真っ直ぐに突き出す線の動き。一瞬早く相手を捕らえたアキトの拳が大雷凰の腹に叩き込まれる。 大雷凰の装甲が軋み、わずかに遅れて直撃した竜馬の脚にアキトはその拳を振り抜ききる前に大きく弾き飛ばされた。 「まだまだぁ!」 直後、大雷凰のブースターはフル稼働しYF-21を追って空を駆ける。アキトが機体を立て直せばその瞬間に、立て直さなければ追いついたその瞬間に一撃を叩き込むべく一度は開いた二者の間を急速に縮めていく。 そして、大雷凰がYF-21に追いつき、その蹴りが襲い掛かる。 「もらったぁ!なっ!!」 がその瞬間、YF-21はファイターモードに変形、吹き飛ばされていたその方向にそのまま加速して攻撃をかわすと135度までロール。 そして、速度を上げながら操縦桿を引き起し、スライスターンで大雷凰を正面に捉えるとすれ違いざまにガンポッドを撃ち込んだ。 「チッ!逃がすかよぉ!!」 放たれたガンポッドは大雷凰の装甲に吸い込まれ火花を散らす。だが意にも介さずといった風で振り向いた竜馬はアキトの追撃に移った。 「いつまでそうやって逃げ回る気だい?」 テッカマン・エビルが間を詰める。 「そうだな・・・。君が私の話を聞く気になるまでかな?」 凰牙が間合いを広げる。そんなやり取りが続けられていた。 全長28.5mの凰牙に対してわずか2.36mのテッカマン。にもかかわらず踏み込まれるたびに後ずさっていく凰牙の姿はもはや滑稽という他ない。 憶測ではあるがロジャーの間合いで戦えば勝機はあるだろう。しかし、懐にもぐりこまれるとおそろしくやり難い。加えて依頼の内容的に手を出すわけにはいかない。 その自覚がロジャーに現在の行動を取らせていた。 「残念だけど、お前と話し合いする必要なんかないね!」 これまで緩やかな動きから一転、テッカマンは高速で駆け出す。 「消えただと!」 それまでとの速度差、こちらの1/10以下というサイズ差、そして予想外の高速、それらの要因が絡み合いロジャーはテッカマンを見失う。 次に気づいたときには文字通り凰牙の眼前にテッカマンはいた。 攻撃を受け流す暇もなく、とっさに首を捻ってランサーをかわす。しかし、完全には避けきれず凰牙の右の角が音をたてて地面に落ちていった。 「今のをかわすなんて意外にやるね」 テックランサーを悠然と旋回させテッカマンが構えなおす。 「君は何か勘違いをしている」 背後に着地したテッカマンを追って向き直り凰牙も構えなおす。 「何をだい?」 「これは話し合いではない。取引だ」 大雷凰が市街地に身を隠したYF-21を追って大地に降り立った。 「どこに逃げやがった」 油断なく背をビルに預け周囲を警戒する。 右に敵影はない・・・。左も・・・。 空に目を移す。やはりそこにも姿はなかった。が、次の瞬間敵機の接近を告げるアラームが鳴り響く。 「クソッ!どこから・・・後ろかぁ!!」 その声とほぼ同時に背後のビルは崩れそこから姿を現したアキトの拳が竜馬を捉える。 金属がつぶれる音が響き大雷凰の胸部装甲が凹んだ。 だがそこでYF-21の拳はつかまれ 「へっ!やっと捕まえた・・・覚悟しやがれぇ!!!」 一転、二転、三転、大きく振り回される。そしてついた遠心力をそのまま利用して大空高くYF-21が投げ飛ばされる。 「貴様にも味あわせてやる!大雷凰の恐ろしさをなっ!!」 きりもみ回転で制御を失った機体の中アキトが必死で機体を立て直す。 「ラアアァァァイジングメテオ!!」 そんなアキトに構わず、大雷凰は高速で迫り 「インフェルノオオオオオォォォォォォォォォッ!!!!」 周囲に爆音が轟いた。 震えた空気の振動にモニターが揺れる。 そんな中、目の前の達磨となったドスハードにリリーナは通信を続けていた。 しかし、応答はない。 それはドスハードの通信機が壊れてしまった為なのだがそのことを知るすべはリリーナにはなかった。 ふと交渉をおこなっているはずの凰牙のほうに目を移す。角が落とされ大地に落ちていく姿が遠目に確認できた。 そして交戦しているのか時折赤い火花が散っている。 「ロジャー・・・」 信じていますと繋げたその声は直後の轟音にかき消された。 慌てて音のほうを振り向く。離れた空域に巨大な爆煙が渦巻いているのが見えた。 そして、ヴァルハラの巨体が揺れる。 次の瞬間、その制御は失われ、巨大な力にヴァルハラが引き寄せられる。 その中でリリーナは一人絶叫した。 小さな人影が地を蹴って信じられない高さまで跳躍すると槍を薙ぐ。 「取引だって?面白い。お前が僕に何を与えてくれるというのだい?」 サイドステップで避けた凰牙の装甲に槍の先端がわずかにかすり火花が散る。 「ゲーム内における君の安全と君が望んでいるであろう現実世界への帰還だ。取引に応じた場合、君の安全は私が全力をかけて守ろう。そのかわりに我々に協力してもらいたい」 その一言がテッカマンエビルの、相羽シンヤのプライドに触れた。 「お前ごときがこの僕を守るだって?フッ・・・ハハ・・・ハァーハッハッハッハ・・・」 突如、シンヤの笑い声が木霊した。その様子にロジャーは肩を竦める。 「何か可笑しいかね?」 「いいや。笑えないね」 テックランサーをロジャーに向かって投げ飛ばす。 「お前ごときが」 唸りをあげて迫るテックランサーがロジャーの脇をすり抜けいった。 「この僕を」 ランサーの先につけていたのか手元の鋼線を勢いよく引き戻す。 「守るだと?」 黒い大きな影が日光をさえぎった。 「ふざけるのもたいがいにしろよ!人間風情があああぁぁぁぁぁぁ!!」 テックランサーが突き刺さり、ワイヤーに絡め取られ、そして制御を失い強引に力ずくで引き寄せられたヴァルハラが上下逆さまに凰牙を押しつぶしてくる。 辛うじてそれをかわしたロジャーからヴァルハラに通信が飛ぶ。 「リリーナ嬢!リリーナ嬢!!応答したまえ!!!」 だがその間にも差し迫ってきたテッカマンが猛威を振るう。 その攻撃を薄皮一枚――-装甲の表面をかすらせる程度で回避したと思った瞬間、体当たりをくらい凰牙は仰向けにビルに沈み込んでいった。 一向に返ってこない通信に苛立ちを募らせつつ身を起こすロジャー。その目にヴァルハラを刻み、槍を回収するテッカマンの姿が飛び込んできた。 体勢を整えるのもそこそこに凰牙の豪腕が唸りをあげてテッカマンに放たれる。それをひらりと回避したエビルは凰牙に対峙した。 「やれやれ、もう少し話せる相手だと思っていたのだが・・・・・・。ネゴシエイションはプロとプロがかわすもの、君もプロたるべきだとは思わないか?」 「はっ!ネゴシエイターは交渉場所に武器を持ち込まないのが鉄則ではなかったのかい?」 「ネゴシエイションに値しない相手には鉄の拳をお見舞いするのが私の主義だ」 「どこまでもふざけた男だね。ハッ!虫唾がはしるんだよおおおぉぉぉぉぉぉぉ!」 今しがた起こった爆発の中心にその機体は長いマフラーをたなびかせていた。 そしてわずかに離れたところを濃紺の小型機が旋回している。 ライジングメテオ・インフェルノが直撃する瞬間、機体の制御を取り戻したアキトはかろうじてそれをかわし、攻撃直後の隙を突いてビームガンとマイクロミサイルを大雷凰に撃ち込んだ。 しかし、直撃したはずの大雷凰に目立った傷跡はついていない。 だが、ここまでで相手の強固な装甲を確認しているアキトに驚きはなかった。おそらくこちらの武装で相手の装甲を抜けるのはバリアを収束させた拳か反応弾ぐらいだろう。 後者はなるべく使いたくはなかった。ここで使うとユリカまで巻き込む危険性がある。前者は最初の交錯時のように馬鹿正直に使えば当たり負けするのは明白だった。 ならば馬鹿正直には使わないだけだと腹をくくる。 YF-21はファイター形態に変形。最大出力で大雷凰に急加速突撃を開始した。 「出し惜しみは・・・無しだっ!」 構えた竜馬に向かってほぼ残弾すべてに相当する大量のガンポッドとマイクロミサイルを散布する。補給ポイントを押さえているからこそ多少の無茶も目をつぶれる。 「ちっ!なんて数だ」 最初の数発を回避するも後続につかまった大雷凰が次々と被弾していく。厚い装甲に阻まれて損傷自体はたいしたことはなくとも爆発の衝撃に翻弄され機体の安定が保たれない。 それによって流れていく先をBDIシステムが予測、アキトは懐に飛び込んだ。 YF-21がバトロイド形態に変形、右拳にピンポイントバリアが収束されていく。 「ここだ・・・・・・」 そして、速度を半減させながらも音速を遥かに超えた速度を保ったまま、その右拳は大雷凰に叩き付けられた。 とっさに軸をずらした大雷凰の頭部が砕け、破片が宙を舞う。その光景を背後に既にYF-21はその場にいない。 「なにっ!」 だが、安全圏まで距離をとったはずのアキトを奇妙な減速感が襲った。 「プラズマビュート!逃がすかああぁぁぁぁ!!」 頭部の砕けた大雷凰の腕が大きく弧を描き、YF-21が強引に引き寄せられる。 「喰らえ!カウンタアアアァァァァァァァァッスパイクッ!!!!」 そして砂嵐に埋め尽くされたモニターの中、竜馬はタイミングをはかってその蹴りを繰り出した。 足に感じる確かな手ごたえと共に地面に何かが叩きつけられる轟音が聞こえてきた。 「くそっ!」 軽く舌打ちをしたリョウは次々にモニターをサブカメラに切り替えていく。 受けた損傷の大きさに苛立ちを隠せない。 だがそんな暇もなく回復させたモニターに異常なほど巨大な砲弾が映し出された。 背中に冷たいものを感じ、反射的に機体を捻る。砲弾はわずかにかすった肩のアーマーを易々と砕いて大雷凰の遥か後方に巨大な噴煙を高々とあげた。 「おいおいおい・・・、冗談じゃねぇ・・・」 だが、竜馬はその噴煙には見向きもしない。見上げたその先には無敵戦艦の姿があった。 全長53.8mの大雷凰に対して420mのダイ。そのあまりの巨大さに圧倒される。 その圧力はあなたの眼前に全長約13~16mの世界最大の肉食生物マッコウクジラが突然姿を現し迫ってきたと考えていただくと多少は伝わりやすいだろうか・・・。 とにもかくにも、その巨体が放つ圧力は並々のものではない。 何かに呑まれたように竜馬の体は動かず。その肌には冷たい汗が吹き出てきていた。 だが、銛を持った漁師はクジラにも立ち向かいしとめる。やがて凶暴な光が竜馬の双眸に宿る。 そして、大雷凰の脇をすり抜けて伸びていった光線を追って竜馬は空を駆けていった。 凰牙とテッカマンが互いの拳を、武器を数合交え飛び退く。 「本当に思っていたよりもやるじゃないか」 「これでも軍警察にいたこともあるのでね。あまり甘く見ないでいただこうか」 「それは無理ってものだよ」 目の前のテッカマンの装甲が細く変わっていく。 不意にテッカマンが眼前から消え、凰牙は吹っ飛んだ。 「だって、その程度では僕の相手にはならな」 軽口を叩いていた口が不意に止まりその上体がゆらゆらと揺れる。 その様子を不審に思いつつロジャーは立ち上がる。 「おやおや、どうやらスタミナ切れかな・・・・・・」 シンヤの視界は歪み揺れていた。ただでさえ極限の空腹状態にあった彼である。そのうえ装甲を変形させて見せることすらやってみせた。 こうなることは必然といえば必然であった。 「なに、心配はいらないさ。お前は自分の身の心配だけをしてればい」 そこで再び言葉が途切れる。揺れる視界の中、その瞳は突如戦場に姿を現した無敵戦艦の巨体を捉えていた。 「まったく次から次へと・・・」 憎々しげに呟くと凰牙と距離をとったまま右に跳躍する。 無敵戦艦ダイと凰牙とテッカマン、三つの点が線を結ぶ。 (もつか?) (いや、もたせてみせるさ) 一瞬、そんな自問をすると彼は一つの賭けに出た。 「ボルテッカアアアアァァァァァァァ!!!!」 モニターが光に埋め尽くされ、耳を劈くような轟音が鳴り響いた。 「え?なになに??何がおこってるの?」 このロワ最大の巨体を誇る無敵戦艦の膝が崩れ、その内部にあるブリッジも傾いていく。 慌てて慣れない手つきでモニターにかじりつき敵機の姿を探す。ここにはいつものように索敵をおこなってくれる仲間はいない。 映し出されるモニターの映像とレーダーに目を走らせている間にも突然襲ってくる振動とその度に傾いていく床に足を取られて何度もこけた。 やっとの思いで艦後方に大型機を確認したと思ったその瞬間、ダイは横倒しに倒れユリカは床に叩きつけられる。 モニターに映し出されているのはいつの間に接近してきたのか赤いマフラーが印象的な一つの大型機。 その大型機が追撃を加えようとして不意に飛び下がり、ダイとの間に損傷の激しい小型機が上空から割り込んでくる姿が見えた。 「チッ!邪魔が入りやがったか」 「ユリカに手は出させない」 飛び下がった大雷凰を追って残りわずかなマイクロミサイルの残弾全てがYF-21から散布される。それを次々と蹴り砕きながら大雷凰は上空に舞い上がる。 最後の一基を蹴り砕いたとき、動きを予測し先回りしていたYF‐21が差し迫ってきていた。 「勝負だ」 迫る小型機が拳にフィールドを収束させる。 瞬時に体勢を立て直した大型機の両脚が紫の雷光を発する。 再び交錯する拳と脚。大気が震えた。 直に大雷凰の脚と激突したYF-21の拳が砕け散る。 だが、構わずに両腕を失ったYF-21は大雷凰の懐に飛び込み、両腕部の残骸と両脚部をパージ、ファイターモードに移行して――― ―――リミッターを解除した。 YF-21は機首が大雷凰の腹に突き刺さり加速していく。 激しい振動が竜馬を襲う。すぐにそれは耐え難いGにかわった。 なおも加速を続ける二機は恐ろしい速度で無敵戦艦ダイから離れていった。 視界がドロドロに歪み、目の前の光景が一瞬遠のきかける。そんな状態ながらもシンヤは踏みこたえ意識を手放さなかった。 PSYボルテッカを放った直後、かろうじてかわす凰牙が見えた。まったくもっていまいましい。 そんなことに気を取られたのも一瞬、シンヤは巻き上げられた粉塵の中に姿を消した。 「まさかこんな武器を持っていようとは・・・」 油断なく周囲を警戒しつつもロジャーは驚きを隠せずにいた。 (この威力・・・サドンインパクトの比ではない・・・。しかし・・・彼はどこへ?) 巻き上げられた粉塵にロジャーはシンヤを見失っている。 最初は姿を紛らせて接近。不意打ちをかけてくるかと思ったがその気配はなく。どうやら違うようであった。 ならば奴は何を考えて・・・まさか引いたわけでもあるまい――― 不意に粉塵の煙幕が裂け、慌ててロジャーが身構える。 その眼前を悠々とテッカマンとばらされコックピットブロックのみを残したヴァルハラが横切った。 「貴様ああぁぁぁぁぁ!!!」 ロジャーが叫び、凰牙が全速でそれを追おうとして崩れ落ちた。 凰牙の計器が燃料切れをロジャーに告げる。 「くそっ!!こんなときに!!!」 拳を計器に叩きつける。 ガン!! 凰牙のコックピットに無機質な音が響き、血が固く握りこまれた拳から滴り落ちた。 そんなロジャーを尻目に二機はビルの谷間に消えていった。 D-7地区で行われた激しい戦闘がひとまずの終局を迎えてから約十分後、そこに佇む巨大な戦艦と一つの人型機動兵器の姿があった。 「すまない。手伝わせてしまって・・・」 補給を終えた凰牙を起動させながらロジャーはユリカに礼を言う。 「いえ。このくらいのことは当然です。残りのデンドー電池は私のほうで預かっておきますので」 「感謝する、ユリカ嬢。それで君はこれからどうするつもりかね?」 「ひとまずは補給ポイントでア・・・・・・ガイさんの帰還を待ちます。ロジャーさんはやっぱり・・・」 「あぁ・・・、奴を追う。放送時間が迫っている今ならば追いつきクライアントと助けるチャンスもあるはずだ」 そういってサングラスをかけ、その表情を隠した。そこに存在するもう一つの―――リリーナの死の可能性にはあえて触れなかった。 「では時間もない。私は行かせていただこう。また会えるときを楽しみにしているよ」 そういって予備のデンドー電池を手に取り、付近刺さっていた巨大な槍を持ち上げる。 そして、眼前を睨みすえるとテッカマンが消えた方向に向かって去っていった。 まだ太陽が空に残る夕方、大気との摩擦で青白く光る二機の機体は、さながら蒼い流星の如くD-7市街地上空から西北西に伸びっていった。 「馬・・・鹿な・・・貴様、死ぬ気・・・かぁあ゛」 その凄まじいGのかかるコックピットの中で竜馬がやっとの思いで声を振り絞る。 例え機体は無事でもすでに人体が耐えることのできる速度ではなかった。 それはゲッターのパイロットとして鍛えられた竜馬とて例外ではない。そして、無論アキトも無事ではいられない。 二人の腹は想像を絶するGで窪み、皮膚は波打ちその表面には血管がくっきりと浮かび上がっている。 そして、答えを返そうとしたアキトの口から鮮血が飛び散り、彼の意識は閉ざされた。 そのアキトの様子にいずれ自分もと判断した竜馬は、重くなった両手を動かすとYF-21の機首を掴む。 「おおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」 そして果てしなく重くなったそれから逃れようと力を振り絞り、抜け出した。 蒼い流星が二つに分裂し、大きい欠片は木々をなぎ倒し森林に堕ち、小さい欠片はその光をたたえたまま大空に舞い上がり雲の狭間に消えていった。 コックピットのハッチに指がかかり、力が加わる。そして金属が悲鳴を上げて引きちぎられ強引に抉じ開けられた。その力が明らかに目の前の者が人ではないことを物語っていた。 嫌な汗が背を伝って落ちる。体が小刻みに震えてとまらない。悲鳴は喉を鳴らし、口をついて出て行こうとする。 しかし、気丈にもその悲鳴を喉元で押し殺し、強い意志の光をその瞳にたたえ、リリーナは目の前の参加者に毅然と向かい合った。 「私は地球圏統一国家外務次官リリーナ・ドーリアンです。あなたとの話し合いをの――」 そこで言葉は途切れ、その続きが紡がれることは二度となかった。 ゴトリ 音をたてて胴から切り離された頭が床に落ちる。続けて残った胴体も崩れ落ちた。血が床に撒き散らされ赤い花が咲いた。 だが、その様子にまったく気をとめる様子もなく彼――相羽シンヤは目的の食料を見つけると冷たい笑みをこぼす。そして、テックセットを解くと食料を貪り始めた。 【相羽 シンヤ(テッカマンエビル) 搭乗機体:無し パイロット状況:テッカマン形態、PSYボルテッカ使用により疲労、空腹解消 機体状況:機体なし 現在位置:D-8市街地 第一行動方針:竜馬を殺す 第二行動方針:ロジャーを殺す 第三行動方針:機体の確保 第四行動方針:十分な食料の確保 第五行動方針:他の参加者を全滅させる 最終行動方針:元の世界に帰る 備考:テックシステムの使用はカロリーを大量に消費】 【ロジャー・スミス 登場機体:騎士凰牙(GEAR戦士電童) パイロット状態:若干体力消耗 機体状態:左腕喪失、右の角喪失、右足にダメージ(タービン回転不可能)、EN満タン 現在位置:D-7市街地 第一行動方針:リリーナの救出 第二行動方針:リリーナを護りながら、参加者へ彼女の完全平和主義を説く 最終行動方針:依頼の遂行(ネゴシエイトに値しない相手は拳で解決、でも出来る限りは平和的に交渉) 備考1:凰牙は通常の補給ポイントではEN回復不可能。EN回復はヴァルハラのハイパーデンドーデンチでのみ可能 備考2:念のためハイパーデンドー電池二本(補給一回分)携帯 備考3:ドスハードの槍も携帯】 【流 竜馬 搭乗機体:大雷鳳(バンプレストオリジナル) パイロット状態:衰弱 機体状態:装甲表面に多数の微細な傷、頭部喪失、右肩外部装甲損壊 、腹部装甲にヒビ、胸部装甲に凹み 現在位置:B-6森林 第一行動方針:サーチアンドデストロイ 最終行動方針:ゲームで勝つ】 【ミスマル・ユリカ 登場機体:無敵戦艦ダイ(ゲッターロボ!) パイロット状態:良好 機体状態:大砲一門破損、左前足損傷、腹部装甲損壊、大砲を一発消費 現在位置:D-7補給施設 第一行動方針:ガイ(アキト)を補給施設で待つ 第二行動方針:補給施設を占拠して仲間を集める 第三行動方針:ガイの顔を見たい 最終行動方針:ゲームからの脱出 備考1:YF-21のパイロットがアキトだと知りませんが、もしかしたらとは思っています アキトの名前はガイだと思っていますが若干の疑問もあります 備考2:ハイパーデンドー電池8本(補給4回分)回収】 【リリーナ・ドーリアン 登場機体:セルブースターヴァルハラ(GEAR戦士電童) パイロット状態:死亡(頭部切断) 機体状態:バラバラ。コックピットのみ 】 【初日 17 40】 高高度に摩擦熱で焼け焦げた戦闘機の姿があった。そして、その焼け焦げたYF-21の中、アキトは生きていた。 大雷凰という大質量の重りがついていたことでYF-21のハイ・マニューバ・モードはその本来の速度まで達することができなかった。 そして、アキトが意識を失った時点からBDIシステムはダウン。機体は失速をはじめ、やがてエンジンは停止し、風に乗って高高度に舞い上がったのだった。 うっすらとその瞼が開く。アキトの目には眼下に大きく広がる雲海とそこに傾いていく太陽が映し出されていた。 そしてほぼ同時刻、すでに人の去ったD-7の戦場後の瓦礫が動き一つの人影がひょっこりと姿を現した。 「まったく。そろいもそろって私を忘れて行くなんて一体どういうつもりなのよーーーーーーーー!!!」 一人寂しく廃墟にその叫びは木霊していった。 【テンカワ・アキト 登場機体:YF-21(マクロスプラス) パイロット状態:衰弱(大) 機体状態:両手両足喪失、全身に損傷、マイクロミサイル残弾0、ガトリンクガンポッド残りわずか、EN残り20% 現在位置:A-6東部高高度 第一行動方針:機体の補給 第二行動方針:無敵戦艦ダイに帰還 第三行動方針:ユリカを護る(そのためには自分が犠牲になってもかまわない) 最終行動方針:ユリカを元の世界に帰す(そのためには手段は問わない) 備考:脚部はD-7市街地に落ちているので回収できたらつけられるかも(?)】 【ソシエ・ハイム 搭乗機体:機鋼戦士ドスハード(戦国魔神ゴーショーグン) パイロット状況:なんでみんな私を忘れていくのよーーーーー!!(機体がガンダム系だと勘違いしています) 機体状況:だるま(両腕両足損失)(AIは取り外され、コクピットが設置されています) 現在位置:D-7市街地 第一行動方針:新しい機体が欲しい 第二行動方針:仲間を集める 最終行動方針:主催者を倒す】 【残り45人】 【初日 17 55】 BACK NEXT それぞれの立場 それぞれの道 投下順 彼らの乗機は強力です 戦場の帰趨 時系列順 アンチボディー ―半機半生の機体― BACK 登場キャラ NEXT それぞれの立場 それぞれの道 ロジャー 依頼主死すとも依頼は死なず それぞれの立場 それぞれの道 リリーナ それぞれの立場 それぞれの道 アキト 休息 それぞれの立場 それぞれの道 ユリカ 追う鬼、追われる鬼 それぞれの立場 それぞれの道 ソシエ 追う鬼、追われる鬼 それぞれの立場 それぞれの道 シンヤ 例え死者は喜ばすとも? それぞれの立場 それぞれの道 竜馬 極めて近く、限りなく遠い世界の邂逅
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/321.html
□ 「はっ……はぁっ……やった。やったんだ、ベガさんの仇を……この手で討ったんだ」 撃墜した敵機を見下ろし、荒い息をつく。 操縦桿から手を離そうとするも、強張った指先は中々動かない。興奮が冷め、ようやくカミーユは冷静になった。 ピンポイントバリアパンチは正確に敵機のコックピットを抉った。生命反応はない―――殺した。 だが、達成感などない。怒りに任せて動いたものの、残ったのはどうしようもない気持ち悪さだけだ。 「なんで……なんでなんだよ。お前にも帰りたい場所があって、大切な人がいたんだろう……?」 落ち着いてみれば、あのパイロットが言っていたことも理解できなくはない。突然こんな戦いに放り込まれれば、錯乱もする。 ベガを殺したことは到底許すことなどできないが、それでも他に方法があったのではないか……そんなことを考える。 と、キョウスケから通信。 「カミーユ、落ち着いたか?」 「……ええ、中尉。すみません、勝手なことをして」 「構わん。お前は結果を出した……それに元はと言えば俺が下手を打ったのが原因だ。お前が気に病むことはない」 「でも」 「責任があるとするなら、俺と。そしてユーゼス、貴様だな」 キョウスケの乗るビルトファルケンは黒い特機へと向き直っている。その様はまるで今にも剣を交えんとする戦士のようだ。 「あの特機は何なのか。乗っていたパイロットはどこにいたのか。どうしてこんな事態が起こったのか。 そして貴様は何をしていたのか……答えてもらうぞ、ユーゼス・ゴッツォ。返答次第ではただでは済まさん」 キョウスケの声は静かながらも言い逃れを許さない剣呑さを帯びている。 自分もユーゼスは信用できない。ここはキョウスケの話を聞くべきだ。 もし、やつが想像通りの邪悪なら……再び、この機体を駆けさせることになる。ユーゼスの動き、欠片も見落とすまいと集中する。 「答えよう、キョウスケ・ナンブ。ただし」 響いた声は黒い特機からではなかった。 発信源……ローズセラヴィー。ユーゼスは黒い特機に乗っているんじゃなかったのか。 だが映像ははっきりとローズセラヴィーのコックピットハッチに立つユーゼスを映し出している。 一瞬、カミーユ・キョウスケともに注意がブラックゲッターから外れた―――その刹那。 「がッ……!?」 鋼鉄の隼・ビルトファルケンを、復讐鬼・ブラックゲッターの斧が斬り裂いた。 「え……何を。何を、して、るん、だ……?」 キョウスケの苦悶。弾け飛ぶファルケン。 ブラックゲッターはその勢いのまま、今度はカミーユへと向かってくる。 「君が、それまで生き残っていれば、だが」 「キョウスケ中尉……キョウスケ中尉――――――ッ!」 落ちていくビルトファルケン。だが、それを追えるほどの余裕を、ブラックゲッターは与えてはくれなかった。 □ 「……が、あ……」 目を開くと、とたんに何故目を開けたのかと後悔した。 視界いっぱいに広がる赤。体のそこかしこに突き立つ鋭い破片。 「……幸運は、二度も、続かんか……」 すべての始まりといえるシャトル事故を思い出す。エクセレンが死亡し、己は瀕死の重傷、だが生き残った事件。 「やったのは、ユーゼス……いや、おそらくはあの男、か。つくづく……甘いな。俺と、いう男は」 ビルトファルケンは辛うじてまだ空にある。だが、肝心の中身が……キョウスケは、もはや牙の折れた手負いの狼だ。 あのとき機体を襲った衝撃はコックピットの中を跳ね回り無数の飛礫と化してキョウスケを襲った。 致命傷だ。 モニターを見やれば、消去法で考えれば恐らくアキトが搭乗しているだろうブラックゲッターとカミーユの戦闘機が、激しいドッグファイトを演じている。 先程の人事不省寸前といった体からは考えられない鋭い動き。あの薬のおかげだろうか? 援護しようにも、腕がどうしようもなく重い―――操縦桿を引くことにさえ、凄まじい重さを感じる。 どうしようもない……いや。 薬。あの薬なら一錠持っている。念のためにアキトから奪っておいた、最後の一錠が。 得体のしれない薬、普段なら飲むはずなどないが――― (俺が蒔いた種だ。俺が刈り取らねば……な) 鉛のような腕をどうにか動かし、躊躇いなくカプセルを飲み下す。 どくん、と。 体の奥で何かが脈動した。 (痛み止め……ではない!? なんだ、この薬は……!) 凄まじい熱。次いで、氷のような冷気。自分という存在が、浸食されていく。 「ぐ……がああああああっ!」 頭の中で激しく火花が散る。影、霧のような、何かが、見える―――これは。 時間が止まる。近づいてくるのは――― 視界が黒に染まる。おぞましくも懐かしい、この気配。 (捕らえた……ぞ) 脳裏に直接響く声。知っている、この声は。 (ようやく……届いた。我が……声が……) 「この……声、貴様はッ……!」 かつて打ち破り、そして今また己が運命を操ろうとする存在、ノイ・レジセイア。 撃ち貫くと誓った存在が、ここにいる。キョウスケのすぐ傍に。 (……お前こそ……ふさわしい。審判の……存在……) 「何を……言っている。俺に、何の用だ……!」 (お前は……またも、生き延びた。そして、我を受け入れるに、足る……器を、手に入れた……) 「受け入れる、器……? 俺を、支配しようというのか―――エクセレンのようにッ!」 (拒むことは……できない。お前は、選んだ……人でなくなる……ことを。我に……近い存在と、なる……ことを。だから、我と……繋がる、ことが……できる) あの薬。危険なものだとは覚悟していたが、まさかここまでのものだったとは予想していなかった。 キョウスケは知らぬことだが、件の薬一つ飲んだだけで人でなくなるということはない。 薬の正体は希釈されたDG細胞。アキトのように身体に欠落する箇所があるものが服用すれば、DG細胞はそこを補うように展開する。 対して健常者が使えば、DG細胞は拡散する場のないまま沈殿する。そして感染力の弱められたそれは、時間とともに体内の免疫細胞によって駆逐される運命にある。 キョウスケの不運は、体力の低下した状態で薬を服用したこと。 結果、普段なら駆逐されるべきDG細胞がさしたる抵抗もなく体内に行き渡ってしまった。 そして、ノイ・レジセイアの波動。意志を持たないDG細胞に指令を下し、その働きを統制するもの。 キョウスケの体の支配権は急速に奪われつつあった。 下手を打った―――後悔が頭をかすめ、だが同時に、どこか奇妙なほど冷静な内面の己が叫ぶ。 ―――ここが勝負所だ、と。 手の届かないところにいた主催者が、降りてきた。それも手の届くどころではない、己の内面という極めて近く……限りなく遠い場所に。 何故人間たるキョウスケの身の内に降りるのか。アルフィミィの気まぐれか、あるいはそれほど差し迫った理由があるのか――― どちらにせよ、好機。 かつてエクセレンがそうであったように、アインストとなった自分が突破口となる―――この箱庭の戦いの。 賭けに負け、自分が自分でなくなったとしても……止める力はある。かつての仲間たちと同じ、信頼できる力が。 「くくっ……ああ、いいだろう……この身体、存分に貪るがいい。だが、もし貴様が俺を、人間を、取るに足りない存在だと驕っているのなら」 不思議なことに、微かに楽しくなってきた。 そう、キョウスケ・ナンブという人間を端的に表すのなら一文で済む。 ―――分の悪い賭けは嫌いじゃない。 「遠くない未来……貴様は再び打ち砕かれる。 この牙を貴様の喉笛に突き立て、その存在を欠片一つ残さず消し去ってみせる。今度こそ、完全にな」 言葉を切ると同時、気配が遠ざかり、体の感覚も薄くなっていく。 落ちていく鋼鉄の隼。その先に眠るは、相棒たる鋼鉄の孤狼。 「フッ……そうだな、お前がいなければ始まらんな―――アルト。付き合ってくれ、地獄の底のさらに下、俺の、最後の戦場へ……!」 鋼鉄の系譜……ともにつがいを失ったものが、互いに互いを抱擁する。これが始まり―――キョウスケは目を閉じた。 □ 「テンカワ……といったか。目的は果たしただろう、ここは引くぞ」 「……何故だ。俺としてはこの機体もここで仕留めたいのだがな」 可変戦闘機……おそらくYF-21と同じバルキリーであろう機体と干戈を交えていると、ユーゼスが通信してきた。 あの化け物のような機体からだ。横目で見やると、驚くべきことにあれだけの攻撃を受けてもあの機体は健在だった。 とはいえパイロットはさすがに死亡したようだ。 仮面の男が抉り取られたコックピットから何かを引きずり出し、放り投げるのが見えた。 どうも人体のパーツであると思わしきそれらは大地に叩きつけられ、粉々になった。 「仕留められるのならそれもいいが、何があったか私にも把握し切れてはいない。 君の位置からも見えるだろう? ファルケンがアルトと未知の反応を起こしている。 墜落したキョウスケ・ナンブがなんらかの変化をもたらした公算が大きい。現時点では交戦を控えるのが賢明だ」 見れば、墜落したキョウスケの機体はアルトと溶け合っていくように見える。 まさか斧の一撃で機体が融解するほどの熱量が発生するわけもない。何かが起こっているのは疑いのないことだった。 アルフィミィからアルトを譲り受けた時のように、いささか信じがたいものであったが。 「だが、こちらは二機だ。どうであれ押し切れるのではないか?」 「君が健常ならな。ああ、言ってなかったがブラックゲッターの中はモニターさせてもらっていたよ。 大事そうに抱えてきたあの薬は劇薬のようだが、確証はあるのかね? 効果が切れるまでにあれとその戦闘機を倒せると」 「……ないな。だが薬にも限りがある。一つ使ってしまった以上、おいそれと引くわけにはいかん」 ユーゼスの抜け目のなさというより自分の不用心さに憤る。薬のことを知られたのは痛い。 「その点は問題ない。サンプルさえあるなら今のAI1で量産が可能だ。 もちろん、君が私に貴重な薬を一つ預けてくれるなら、という条件付きではあるが」 「何が狙いだ、貴様。俺が優勝を狙っているのは知っているだろう」 「さあ、どうせ何を言っても君は信じはしまい? だからこうとだけ言っておこう。『どちらでも構わん』と」 「……、どういう意味だ」 「何、そのままさ。君が私を信じようと信じまいと、どちらでもいい。 信じないのならここで別れるだけだし、信じるのならそれなりの見返りは約束しよう。どのみち最後は戦うことになるのだろうしな」 「条件付きの同盟というわけか」 「そうとってもらって構わん。……おっと、これ以上言葉遊びに時間を費やすのもいかんな。さあ、選びたまえ。私とともに来るか否か」 「……いいだろう。俺からの条件は薬と情報だ。それを満たすのなら貴様の指示に従ってやる。 ただし、残り5人あたりになれば手を切らせてもらうがな」 「ふむ……交渉成立だな。では行こうか」 戦闘機もアルトの変化に気づいたようだ。パイロット―――キョウスケの名を叫びつつ距離を取り、旋回している。 といってもこちらに隙を見せているわけでもないが、少なくとも注意は向けられていない。離脱するのは容易かった。 戦域を離れ、ある程度距離を置いたところで語りかける。 「で、どこへ向かう。基地に向かってくるやつはいるはずだ。そいつらを狙うのか?」 「さしあたっては別の施設だな。君の薬のこともある。研究所などがあればいいのだが」 「施設……それなら心当たりがある。と言っても、問題はあるが」 「ほう?」 「戦艦を二隻、確認している。一隻は戦いに乗っていて、もう一隻は不明だ。俺としては……後者、ナデシコを探すことを薦める。あれならば研究設備も充実しているからな」 「ほう……勝手知ったる口ぶりだな?」 「……貴様には関係ない」 「フ、まあいい。では当面そのナデシコなる艦との接触を目標としよう。では行こうか……共犯者よ」 共犯者。仲間、相棒などと称されるよりよほど合っていると思った。 どうせ目的を果たすまでの仮初の同盟。いずれ殺す相手に必要以上に気を許してはいけない。 特にこの仮面の男は底が知れない。迂闊な隙は見せられない。 ……不意に、自分が討った男を思い出す。 ユリカを失った自分と、まるで鏡に映したような境遇の男。違うとすれば悪魔の誘いに乗ったかどうか。 内心はどうあれ、あの男は自分を助けた。だがその返礼として自分は彼を背中から斬った。 後悔はないものの、胸が痛まないということはない。 しかし、やつは生きているかもしれない。戦斧は確実にコックピットを切り裂いた、それは確認している。 なのにあの赤い機体は狙ったようにアルトアイゼン、己が放置した機体のすぐ傍に落ち、融合を始めたのだ。 傍目にも尋常な様子ではなかったが、はたしてあの変化の内部にいた男は無事なのか。 万が一無事だったとして……その時キョウスケは、もはやアキトを保護すべき対象としては見ないだろう。 次に会ったときはその身を喰らい合うことになる、それは確実だ。 ガウルンともまた違う、奇妙な縁ができた。影と戦うようなものだ、とおかしさがこみ上げる。 (キョウスケ・ナンブ。許しを請うつもりはない……だから、俺の前にお前が立ちふさがるのなら、何度でも) 決意は変わらない。何よりも重いのは、ユリカの命だ。 (そう、何度でも撃ち砕く。戻る気はない……これが俺の、俺にできる唯一の……贖罪、なのだから) □ 通信を切る。この男、テンカワ・アキト。 先程の動きをみるに、腕は確か。そしてあの割り切った態度、道行きを共にするには申し分ない。 だが……失望した。この男は己を滅する敵たり得ない。 この男にはキョウスケ・ナンブほどの信念を感じない。おそらくは優勝すれば望みが叶うという口車を信じたのだろう。 だがその望みがかなう保証はどこにもない。己が主催者の立場なら、今頃さぞ口角を吊り上げているだろう―――哀れな道化。 自ら勝ち取る道を選ばず、ただ与えられるものを享受する……そんな輩に興味などない。 しばらくは協力するが、AI1が問題なく稼働するようになればいつでも切り捨てる。 仮面の魔人にとって黒き復讐者はその程度のものだった。 基地を放棄したのも些事だ。あとはある程度の設備があれば首輪の解析は可能。 ベガは……惜しいことをした。彼女にはまだまだ有用性はあったのだが、まあ仕方ないことだ。 カミーユ・ビダン。これもまた、些事だ。賢しいだけの子供などいくらでもあしらえる。 当面はナデシコなる戦艦を探しつつ、首輪とバーニィが遺した戦闘データを解析する。 これでAI1はまた成長できる。あの半端者も、最後の最後で少しは役に立ってくれた。 それよりも、思考を占めるのはキョウスケ・ナンブのこと。 アキトの一撃はたしかにやつに致命傷を与えたはず。だが、この背筋に残る怖気は何なのだろうか。 死んではいない―――そんな予感が頭から離れない。 あの男の操縦技術、決断力はたしかに目を見張るものがある。 しかしそれだけではこの状況を説明できない。撃墜し、沈黙したと判断したその瞬間、あの得体のしれない気配は「来た」。 念動能力者でもサイコドライバーでもないキョウスケ・ナンブとただのパーソナルトルーパーでは成し得ない事態、考えられるとするなら。 メディウス・ロクスが仕掛けたヘブン・アクセレレイションは一瞬、確かに次元に穴をあけることに成功した。 バーニィ如き未熟者でなく自身が乗っていたなら正確に観測できていただろうが、是非もないことだ。 とにかくあの一瞬。あの一瞬、何かが「紛れ込んだ」のだ、この世界に。 キョウスケ・ナンブの話では、彼は主催者の化け物と浅からぬ因縁があるという。 あの場で介入して来る存在と言えば、一つしかない。主催者がキョウスケを死なせないために行動したということだろうか。 だが解せないのは何故時間をおいてあの気配は発現したのか。 キョウスケ・ナンブが何らかのアクションを起こした―――何を? だがその答えは現状では導き出せない。 ともかく、生死が確認できていないのなら、やつは生きているとして扱うべきだ。 そして生きているならあの男は今度こそ向かってくる。必滅の決意とともに。 ぶるり―――我知らず肌が泡立った。愛しき宿敵以外にこんな感情を持つのはいつ以来だ? まったく、退屈しないな、この世界は―――哄笑を抑えきれず、身を反らす。 いいだろう、来るがいいキョウスケ・ナンブ。私は逃げも隠れもせん。 お前の牙がこの身に届くと信じているなら……喜んで相手をしてやろう。 己が映し身のように、彼に導かれたサンプル達のように。強い「力」を、更なる力でねじ伏せることで。 「その意志が、その熱が―――私を遥か超神の高みへと押し上げるのだからなぁ―――!」 □ 「キョウスケ中尉! 応答して下さい、キョウスケ中尉!」 ニュータイプの感性に頼るまでもなく、わかる。 今、キョウスケ・ナンブという男は変わりつつある。 寡黙だが信頼できる男の発する気配は、時を追うごとに歪んだ何かへとすり替わっていく。 「……カ、ミ……ユ。き……える、か……」 「キョウスケ中尉! 無事なんですか!?」 「……いい、か、よく、聞け。ユー……ゼスは、危険だ……。奴と、もう、一人。テン、カワ……アキトという、男……こいつらは、乗っている……躊躇う、な、倒せ」 聞こえてきたのは己のことではなく、敵のこと。まるで、仲間に後を託して逝く戦士の声。 「あなたは……何を言ってるんです! すぐに救助します、もう喋らないで下さい!」 「聞け……ッ! 俺は、もう……長くは、持たん……。エクセレンの時と、同じことが……時間が、ない。不本意、だが……お前に、託す。聞くんだ……」 「そんな勝手なことを……!」 強引にでもコックピットから引きずり出して……そうしようとした瞬間、眼前の異常に目が奪われる。 ビルトファルケンの鋭角なシルエットが崩れる。下敷きとしていた蒼い機体と溶け合っていくように、一つになって。 真紅と、深蒼が、混じり合う。 「俺は、かつてあの、化け物……ノイ・レジセイア……を、撃破、した。やつが何故、蘇ったのかは……知らんが、決して、倒せ、ない存在では……ない」 何かが、生まれる。存在してはいけない何かが。 だがその渦中の男は構わず喋り続ける。かつてあった戦い、その結末を。 そしてこの世界であった、新たな戦いを。 「カミーユ……力を、集めろ。お前……だけでは、足りん……もっと多くの、強く、激しい力、で……今度こそ、やつの、存在……を、消し去る……ために」 「中尉……ッ!」 「そして、力が……集ったのなら、……カミーユ。まず、俺を……殺しに、来い。 他の誰でもない……お前が、だ。俺の声を聞いた、お前が……俺を、止めろ」 「何を、言ってるんです、中尉? どうして俺があなたを殺さなきゃならないんですか!?」 「俺は……やつらと、同じ……存在に……アインストに、なる。 だが、恐らく……ユーゼス・ゴッツォ、あの男……は、それ……さえも、利用……しようと、する、だろう。 だから、その前に、お前が……俺を殺せ。あの男の……良い様に、踊らされるなど……真っ平だから、な」 「俺に、あなたと同じことをしろって言うんですか!? ゼクスさんやカズイを殺した、あなたと……!」 「ゼクス……、そうか、やつも……こんな気分、だった……のかも、しれん、な……お前には、重いものを、背負わ、せる……すまん、な」 不意に、水音。大量の水をぶちまけたような。狭いコックピットで考えられるものなど、一つしかない―――血だ。 「もう……行け。そろそろ、限界……俺が、俺でいられるのは……ここまでの、ようだ……」 「中尉、俺は……俺は……ッ!」 「……行けッ! カミーユ・ビダンッ!」 もう口を開くことさえ辛いはずなのに、その一喝はカミーユを怯ませる。 「ま……待って下さい、俺はまだ、あなたに……ッ!」 「ベガはお前を守って……死んだのだろうッ! その命、もはやお前の勝手で容易く捨てられるものではないぞ! 生きろ……戦え、カミーユ! お前が生きて、やつらを討てば……それが、俺達の勝利だッ……!」 「……中尉」 と、もはや形も定かではないビルトファルケンの腕が伸びる。取り付けてあったブーストハンマーを外し、こちらに放り投げた。 「これを……使え。 ……勝て、カミーユ。お前には……力がある。想いを、強さへと変える、ことが……できる、力が。俺の……命。持って、行け……」 「あ……お、俺は……!」 「さらばだ……、カミーユ。死ぬな、よ……」 やがて、真紅が駆逐され、深蒼が湧き出でる。 二機の影は一つになった。 ―――蒼い、アルトアイゼンに。 「……ッ、……う、あッ……あ、うぁぁあああああああああああァァッッ!」 ハンマーを拾い上げ、ファイター形態へと変形。変わっていくビルトファルケン……否、もはや隼でも古い鉄でもない機体から、「逃げる」。全速で、振り返らず。 (俺は……俺は……ッ! 守ってもらうばかりで、あの人たちに何も……何も!) 「ちくしょおおおおおおおおおおおおおおおおッッ!」 もう背中を守ってくれるキョウスケはいない。隣で支えてくれるベガは、前に立ち導いてくれるクワトロはいない。 危険と知りながらユーゼスを放置した、その自らの甘さが招いた惨劇―――ベガと、キョウスケが代わりにそのツケを払った。 クワトロとは出会うことなく死に別れた。すべてが遅すぎたのだ。 後悔、怒り、悲しみ、憎しみ。そのすべてが混沌となり、だが皮肉にも身体を突き動かす力へと変わっていく。 「やってやる……やってやるさッ! ユーゼスも、アキトってやつも、あの化け物も……そしてキョウスケ中尉、あなたも! 俺が……俺が! 俺が、全て倒すッ! あなたの望み通りに……あなたを、ベガさんを、クワトロ大尉を―――勝利させるために……ッ!」 身体の奥に、熱い―――熱い、炎が灯る。すべてを灼き尽くす、根源の力。 今、この荒ぶる熱とともに誓うべき言葉は、ただ一つ。そう――― 「すべて……撃ち貫いてみせる……!」 【カミーユ・ビダン 搭乗機体:VF-22S・SボーゲルⅡ(マクロス7) パイロット状況:強い怒り、悲しみ。ニュータイプ能力拡大中。精神が極度に不安定 機体状況:ブーストハンマー所持 反応弾-残弾0 EN・火器群残弾10% 現在位置:G-5 第一行動方針:対主催戦力と接触し、仲間を集める 第二行動方針:ユーゼス、アキト、キョウスケを「撃ち貫く」 第三行動方針:20m前後の機体の二人組みを警戒 最終行動方針:アインストをすべて消滅させる 備考1:キョウスケから主催者の情報を得、また彼がアインスト化したことを認識 備考2:NT能力は原作終盤のように増大し続けている状態】 【テンカワ・アキト 搭乗機体:ブラックゲッター パイロット状態:マーダー化、五感が不明瞭、疲労状態 薬の持続時間残り15分 機体状態:全身の装甲に損傷、ゲッター線炉心破損(補給不可) 現在位置:F-7北東部 第一行動方針:ナデシコの捜索(とりあえず前回の接触地点であるD-7へ) 第二行動方針:ガウルンの首を取る 第三行動方針:キョウスケが現れるのなら何度でも殺す 最終行動方針:ユリカを生き返らせる 備考1:首輪の爆破条件に"ボソンジャンプの使用"が追加。 備考2:謎の薬を3錠所持 備考3:炉心を修復しなければゲッタービームは使用不可 備考4:ゲッタートマホークを所持】 【ユーゼス・ゴッツォ 搭乗機体:メディウス・ロクス パイロット状態:若干の疲れ 機体状態:全身の装甲に損傷、両腕部・右脚部欠落、コックピット半壊、自己再生中 現在位置:F-7北東部 第一行動方針:ナデシコの捜索、AI1のデータ解析 第二行動方針:首輪の解除 第三行動方針:サイバスターとの接触 第四行動方針:20m前後の機体の二人組みを警戒 第五行動方針:キョウスケにわずかな期待。来てほしい? 最終行動方針:主催者の超技術を奪い、神への階段を上る 備考1:アインストに関する情報を手に入れました 備考2:首輪の残骸を所持(六割程度) 備考3:DG細胞のサンプルを所持 備考4:機体の制御はAI1が行っているので、コックピットが完全に再生するまで戦闘不能】 【メリクリウス(新機動戦記ガンダムW) 機体状況:??? 現在位置:G-6基地内部】 【月のローズセラヴィー(冥王計画ゼオライマー) 機体状況:右半身大破、月の子全機大破、EN残量0 現在位置:G-6基地】 【バーナード・ワイズマン 搭乗機体:なし パイロット状態:死亡】 【残り21人】 【二日目 7 10】 □ (行った……か。まったく……世話の焼ける……) もはや声が出ているかも定かではない。 だが不思議とキョウスケに恐怖や後悔といった感情はなかった。 (エクセレン……遅くなって済まないが、まだお前のところには行けないようだ……) 意識は朦朧としているのに、感覚が広がっていく。機体に神経が繋がるような…… これはそう、アルト。いや、ゲシュペンストMkⅢという方が正しいか。アルトは蒼くはないものな……と、かすかに笑みがこぼれた。 (気がかりはユーゼスとあの男……手の内をすべて見せたわけでもあるまい。まだ何か企んでいるか……) そして、主催者。アルフィミィにノイ・レジセイア。問題は山積みだ。 (……だが、勝つのは俺たちだ。ノイ・レジセイア、何をしようと貴様の滅びは決まっている……俺達を敵に回した時から、な) 意識が消える、その刹那。彼女が、笑った気がした。 『ほんと、分の悪い賭けが好きねぇ』 (フン、何とでも言え……見ていろ、あいつは来る。俺を……撃ち貫き、この闘争の世界を、破壊するために。 俺の命をチップにしたんだ、それくらいの配当がなければ釣り合わん……なあ、そう……だろう―――カミー、ユ―――) 勝て―――その意志を残し。 ―――そして、「キョウスケ」が沈んでゆく――― □ 静寂の……世界。創らねばならない…… 望まぬ……者を……望まぬ……世界を……破壊しなければならない…… 人間……これこそが……この、身体こそが…… 試す……そう、試さねば……この器が、新たな、宇宙を……創るに足る、ものか…… すべて……消去する。我の前に……立ちふさがる者、すべて…… ――――――撃ち貫く、のみ―――――― 【キョウスケ・ナンブ 搭乗機体:ゲシュペンストMkⅢ(スーパーロボット大戦 OG2) パイロット状況:アインスト化 、DG細胞感染 機体状況:アインスト化。 現在位置:G-6基地跡地 第一行動方針:すべての存在を撃ち貫く 第二行動方針:――――――――――――――――――――カミーユ、俺を……。 最終行動方針:??? 備考1:機体・パイロットともにアインスト化。 備考2:ゲシュペンストMkⅢの基本武装はアルトアイゼンとほぼ同一。 ただし全般的にスペックアップ・強力な自己再生能力が付与。 ビルトファルケンがベースのため飛行可能。 また実弾装備はアインストの生体部品で生成可能】 本編160話 すべて、撃ち貫くのみ(1)すべて、撃ち貫くのみ(2)
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/222.html
流 竜馬 氏名 流 竜馬 性別 男 出典 真(チェンジ!)ゲッターロボ 地球最後の日 人称 一人称:俺 二人称:お前、てめえ 三人称:あいつ、奴 特殊技能 元となっている漫画版の設定だと、父親から教わった空手の達人。その腕前は殺し屋三人を返り討ちにし、全国武道大会なるものに乗り込んで数十人をぶちのめすほど。爬虫人類も簡単に倒します。 性格 元は熱血漢で好青年だったが、現在は復讐鬼に。ゲッターチーム崩壊を招いた(と思っている)隼人と早乙女博士を倒せれば後のことはどうでも良いらしい。 備考 他シリーズの竜馬と比べて目立つのが、賢いことである。月のドッグで初代ゲッターをブラックゲッターに改修したり、ガニメデが月より大きいこと知っていたり。
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/153.html
『未知』と『道』 ◆C0vluWr0so ぼんやりとした意識が闇の中を彷徨っている。 どこまでも暗い無意識の海。下に浮かぶのか上へ沈むのか分からない曖昧な感覚。 何処からともなく声がした。問う声だ。 『お前は一体どうしたいんだ?』 ――俺は、帰りたい。アル達が待ってるサイド6へ。 約束をしたんだ。必ず生きて帰って、会いに行くって。 会いたいんだ。まだまだ話したいこともあるし、聞きたいこともあった。 『そのために殺すのか?』 ――仕方ないじゃないか! 最後の一人にならないと帰れない。 それが分かってて、それなら殺すことだって考える。 戦争と同じなんだよ、殺さなきゃ生き残れない。 『戦争と同じだって? それは違うさ。お前は今、自分のために人を殺そうとしている。 上から言われるままに戦えば良かった戦争とは、全く違うんだよ。我が侭なガキの言い分だな』 ――それでも……我が侭でも、俺はみんなに会いたいんだ。 『殺して生き残って、それでもアルやクリスに会えるのか? 人殺しの癖に胸を張って会いに行くのかい?』 ――それは…… 『そら、やっぱりお前はそういうやつなんだよ、バーナード・ワイズマン。 いつも考えが足りない。だから大切なモノも失くしてしまう』 ――うるさい! うるさいうるさい! だいたいお前は一体誰なんだよ! 何でそんなことを言うんだよ!? 『まだ気付いてないのかい、バーニィ?』 ――くそっ……! 何で俺が……何で! 『そうだ。俺はお前なんだよ。俺の言葉はお前の言葉だ。俺の考えはお前の考えだ。 ……さぁ、もう一度聞くぞ。――お前は一体どうしたいんだ?』 ――俺は……俺は……! ◆ 意識の反転。バラバラだった意志は手繰り寄せられ、一つの纏まった思考へと変化していく。 視界は暗い――が、周りに広がっているのは視認できる夜の闇だ。出口の見えない暗黒ではない。 自分が夢を見ていたのだと気付くのと同時に膨れる疑問。 ……此処は何処だ? 意識が断絶する一瞬前まで、自分は交戦していたはずだ。 虫のような機体に、後から乱入してきた二機。自分も含めて四機の戦闘。 自分が気絶していた間に全て終わった、ということなのか? でも、それならなんで俺は生きてるんだ? 他の機体は何処へ行ったんだ? 段々と戻ってくる身体の感覚は平時のそれとは全く違う。 後ろ手に縛られている=身動きが取れない=危険。単純明快な理論に涙が出そうになる。 暗順応を起こした視細胞が、次第に暗闇の中に立つ人影を認識し始めた。 (……仮面? 男なのか? 俺を縛ったのも……?) 薄暗闇の中、はっきりと姿を確認することは出来ないが、目の前の男が自分の生殺与奪権を握っているという事実に緊張が走る。 向こうはこちらが目覚めたということに気付いているようだ。じっとこちらを見つめたまま、動かない。 もっとも、顔全体を覆う仮面のせいで、男の視線が本当に自分に向けられているのか分からないのだが。 そのままどれくらい見つめ合ったのか。仮面の奥で男が笑ったような気がした。 そして声が響く。 「お目覚めかね?」 「……ここは何処だ? あんたは一体誰なんだ!?」 「落ち着け。君が私の話を聞いてくれるのなら悪いようにはしない。 まずは君の名前を聞かせてくれ。私の名はユーゼス=ゴッツォだ」 「……ジオン軍所属のバーナード=ワイズマンだ。あんた……俺に何をする気なんだ?」 「落ち着け、と言っている。悪いようにはしないともな。 ……そうだな、それでは逆にこちらが聞こう。ワイズマン、君は一体どうするつもりなのかとね。 君はこの基地に来る前に青い機体と交戦したはずだ。今現在私はそのパイロットと行動を共にしている。 勿論君のことも聞いている。奇襲を仕掛けてきた危険なパイロットとしてだが……」 ククク、と実に愉しそうにユーゼスと名乗った男は嗤う。 一挙一動が周囲に邪悪さと悪意を撒き散らしていく。 それを全く隠そうとしないのは、ユーゼスが絶対的優位に立っているからだろうか。 こちらはユーゼスの余裕とは逆に、焦りがどんどん募っていくというのに。 ……不味い。ここで下手なことを喋れば、縛られたまま殺されるというのも十分にあり得る。 何せ此処は、『殺し合い』をする場所なんだから。 けれど、士官学校を卒業したばかりで、軍に配属されてから間もなくて。 「俺は……死にたくなかっただけなんだ」 ろくに実戦経験も無く、それどころか女の子を口説くのさえ下手な俺じゃあこんな時に上手いことなんか言えっこない。 「死にたくなかったから他者を殺そうとした――いや、それとも既に殺したのか?」 「……」 何も言い返せない。言葉さえ浮かばない。 だからコクリと小さく頷いて、それに肯定の意味を込める。 だが、何故かユーゼスの両手がパチパチと乾いた音を立てる。 「そうか。だが……それの何がおかしい? それは人として当たり前の感情だ。 私がその程度のことで君を軽蔑するはずがない。むしろ、その生きようとする強い意志に賞賛の拍手を送ろう」 ……今、何て言った? ここにきて――ようやくバーニィは、目の前の人物の本当の異常性に気付く。 例えば自分が人生経験もろくにない新兵だとか、相手の仮面の所為で表情が掴みにくいだとか。 そんなことを抜きにしても『この男が本当に心の底から、一つの偽りも無くこの言葉を吐いたということは間違いない』と言い切れる。 殺される殺されないの問題じゃない。喰われるのか、喰われないのか、だ。 「俺を縛ったのは……あんたなのか?」 「そうだ。だが心配する必要は無い。君が生きていると知っているのは、私だけだからな。 同行している面々には、この基地には生存者はいない、と伝えておいた」 『心配する必要が無い』だって? 俺が生きていると知っているのは自分だけだと、あんたは言った。 それはつまり――『俺を殺しても、誰も何も気付かない』ってことだろう? 『私は何時お前を殺しても構わない』という脅しなんだろう? 「あんたの仲間ってのは何人いるんだ?」 「三人だ。内二人は此処にはいないがな。……そろそろ、本題に入ろう。私は君に協力して欲しいと思っている」 「協力? 何の?」 「『これ』と……その先にあるものだ」 そう言ってユーゼスは、右手を首元へと向ける。 つまり……ユーゼスの目的は首輪の解除だということか? その先にあるもの……あの化物? まさか……アイツを倒すつもりじゃ…… 「目途は立っている。後はチェックメイトまで持っていけるだけの『駒』を揃えるだけだ」 「だから俺に……駒になれって」 「そういうことだ。しかし、決して無理強いをするつもりはない。君がノーと言うのなら仕方無い」 ――選択の余地は無かった。相手の言葉に従わない限り、俺に生きる道は無い。 なのに、何故か分からないけれど、イエスと言えない自分がいた。 このままユーゼスの言うがままに動けば、死ぬことよりも更に恐ろしいことになる。 そんな予感がしたのだ。 「まあいい。無駄に出来るほどではないが、熟考するだけの時間はある。しばらくここで考えているといい。 私たちと共に生きて帰る道を選ぶのか、それとも……」 ユーゼスはまた嗤う。闇に笑い声が吸い込まれていく。まるで、悪魔が嗤っているような気がした。 ◆ 地下発電所を離れたユーゼスが次に向かったのは基地施設の中でも特に重要な場所。 広大な基地の中でも一際目立つ演習場――そのすぐ近くに存在する『開発部』だ。 基地の端末にはただ『開発部』とだけ記されていたが、演習場が近くにあるということから考えて、おそらくは新装備の設計・開発、及び調整などを任されていた場所だろう。 当然、それなりの施設も備わっているはずだ。或いは、首輪を外せるほどのものが。 だが、このフィールドを用意したのが誰かを考えれば、そこまで楽観的な予想をすることも出来まい。 せいぜい解析の補助が良いところだろう。勿論今の状況からすればそれでも十分すぎるほどの収穫ではあるのだが。 「むしろ一番の収穫は、あの男かもしれんな……」 バーナード=ワイズマン。まだ年若いあの男は、悪くない駒だ。 支給された機体のスペックもあるだろうが、数回の戦闘を経てもまだ生きているというだけで無能ではないということは分かる。 かといって、決して自分の力を過信することなく――むしろ、自分の弱さを知っているからこそ、この殺し合いに乗ることを決めた。 死の恐怖から逃れることを原動力とする人間ほど扱い易いものはない。少し『道』を見せてやるだけで、どうとでも動いてくれる。 その点では、なまじ力を持っているために下らない良識の枷に囚われているベガやカミーユよりも期待できる存在だ。 問題はこのカードを何時使うかだが……まぁいい。まだ『仕込み』も完全ではない。より完璧に御することが出来るまで、ワイズマンは隠しておく。 下手に中尉に見せれば、いらぬ誤解を招くことになる。それもまた一興ではあるが、好手ではない。 次に手を打つべきなのは――『これ』だ。我々の命を握る、物理的な枷。 まずは邪魔な首輪を外す。首輪の構造には、既にアタリをつけている。 予想自体が未知の技術込みであることが癪だが、おそらく大きくは外れていないはずだ。 ……それに今の私には、これがある。 ユーゼスは、操縦する手を休め、コクピットを撫で始める。それは、ユーゼスにとっては三機目の機体。 ……十分なエネルギーを手に入れ、第二段階へと成長したメディウス・ロクスとAI1。 自己進化の概念を持つプログラムと、それを支える高性能電子頭脳を持つこの機体ならばこの枷を読み解く大きな鍵となってくれるだろう。 「……ここか。思っていたとおりめぼしい物は無いようだが……」 『開発部』に到着したユーゼスは、早速周辺の機器の調査を始める。 AI1がエネルギーを吸収していたために止まっていた基地内部への電源供給も、メディウスの復調と共に復活している。 外部の人間から奇襲される危険性を考え、こちらの居場所を示す照明の類は消したままにしてあったが、内部機器を動かすのに問題は無い。 ユーゼスは次々と基地施設の電源を入れ、その機能を逐一確かめていく。 だが調査の結果は芳しいとは言えない。ただ単に首輪を分解するための器具ならいくらでもあったが、肝心の赤い宝玉の解析に役立ちそうな機械は無かった。 現在の設備で出来るのは宝玉以外の部分――つまり、純粋に機械である箇所の解析だけだ。 しかし。 ユーゼスには、この赤い宝玉を解析する鍵は既に手に入れているという確信があった。 それはB-5で回収した首輪だ。この変質した首輪――おそらくこれが、アインストという未知を解析する最大の手がかりだ。 これを回収してから数時間が経った。 最初に手に入れた時点で、既に通常の首輪とは大きく違う変化を遂げていた。 だが驚くべき事に、時間の経過と共に首輪の変質は更に進んでいる。 この変化が鍵だ。我々の首輪には、時間の経過と共に変質していくという性質は無い。 おそらくこの変化は、首輪を用意したアインストさえ想像していなかった偶然の産物だ。 ……だからこそ、あの異形の化物の裏を掻くことが出来る。 首輪の変化を観察し、パターン化することで手の届かない宝玉内部の状態を調べることが出来るはず。 変化の解析はAI1を使う。その性質上、簡易ではあるがメディウスにも解析装置は備わっていた。 自己進化のプログラムの中には、この変化と同様のアルゴリズムを持つものもあるかもしれない。 AI1に同類のプログラムがなければ、変化のパターンを分析させ、作ればいいのだ。 変質の規則性さえ掴めれば、そこから逆算し、通常の首輪についてもコア内部の予測が出来るだろう。 ユーゼスは変質した首輪を、AI1の解析装置にかける。 こちらの首輪に関しては、時間の経過を待つことしかできない。 「半壊した方を分解する前に……ベガと連絡を取るか」 ワイズマンとの接触、解析機器の探索に時間を掛けすぎた。 ベガは基地の警備を続けているはずだが、長時間の単独行動は不要な問題を抱え込む要因になりかねない。 ……ベガには、首輪についてある程度説明しておいた方が役に立つかもしれんな。 コア以外にも首輪について幾つか分かっている事柄はある。 ただの人間が気付けることなどたかが知れているが、あらかじめ情報を与えておくことで少しはマシな発見が出来るかもしれない。 (……盗聴の危険性を考えると、視覚的に確認できる形に纏めておいた方が都合が良いな。 いざとなれば即座に処分出来る紙媒体が適切だろう) 周囲を物色すると、筆記用具はすぐに見つかった。 さらさらと首輪に関する情報を書き進めながら、ローズセラヴィーとの通信。 「……ベガか? 一度合流し、話しておきたいことがある。場所は中尉達と別れたところだ」 『了解しました』 ◆ ユーゼスからの通信から数分後、ベガは待ち合わせ場所に到着した。 それから遅れること更に数分、ユーゼスも到着。 しかし……ユーゼスの乗機は、ベガの見知らぬ物に変わっている。 どこか禍々しさを感じさせるその姿に、ベガは不安を覚えながらもユーゼスへと通信を入れた。 「ユーゼス、今のところ基地に近づく人間はいませんでした。そちらはどうですか? どうやら、機体が変わっているようですが……」 「上々だ。機体に関しては……探索の途中でこの機体を発見した。 この機体の名は……『ゼスト』だ。どうやら我々の来る前から此処にあったようだ。 既にパイロットは死亡していたが、この機体には自己再生能力があるらしい。戦闘には問題ない。 メリクリウスの防御力は魅力だが、この機体の方が総合的に優れている」 ユーゼスの言葉に納得しながらも、どこか受け入れることが出来ない自分がいることにベガは気付く。 あくまで自分たちの乗機は兵器に過ぎない。生きるか死ぬかの瀬戸際で、たかが道具にこだわってはいられない。 それでも、ユーゼスの行動は余りにも合理的すぎる。まるで感情が欠落しているかのように。 中尉の愛機だというアルトアイゼンを乗り捨てたときもそうだ。 自分も反対はしなかったが、機動兵器乗りにとって、自分の愛機とは家族のようなものだ。 あそこに乗り捨てていったことで、中尉との関係の悪化を招いていたかもしれない。 けれど、ユーゼスは他者との関係に全く気を払っていない。カミーユに敵視されようと、まるで他人事のように振る舞っている。 「それともう一つ報告しておくことがある。 メディウスをチェックしてみたところ、OSに細工の跡があった。 カミーユには黙っていた方がいいだろうが……カズイの仕業だ」 「――! 彼が、メディウスの乗っ取りを謀ったと? 中尉はそのようなことは言っていませんでしたが……」 「不器用な男だということだ。カミーユとの衝突も避けられただろうに……死者の悪行を自己の正当化の理由には使えない、といったところだろうか」 「……二人が戻ったときに、私の方からそれとなく話してみます。 カミーユには信じ難いことかもしれませんが…… それでユーゼス、話したいこととは?」 ようやく話が本題に入り、ユーゼスは機体から降り、ベガにも同様に降りるように促す。 ベガがユーゼスの側まで近づいたところで、ユーゼスはベガに数枚の紙を差し出した。 「これは?」 「黙って見てくれればいい。重要な案件だ」 その紙には、こう書かれていた―― ―――――――――――――――――――――――――― 盗聴の危険性を考え、口頭ではなく紙を用いて情報を伝える。 おそらく今後も重要な話題に関してはこの形式を使うことになるだろう。 紙を使ったのは緊急時の隠滅のしやすさを考えてのことだ。 いざというときには即座に破棄することを徹底しろ。 今回伝えたいことは、「首輪」に関する情報だ。 私たちが所持している首輪は二つ――それに加え、各自の首の数だけあるわけだが、ここでは無視しよう。 この二つの首輪を回収したことで、私たちは幾つかの情報を得ることが出来た。 参考までにだが、それを基にした私の推論も書いておく。 ◆事前にアルフィミィから得た情報 首輪の爆破条件について →禁止エリアへの侵入 →首輪を外す行為、及び強い衝撃 →24時間以上死者が出ない 一つ目と三つ目に関してはアルフィミィの言葉をそのまま信じるしかない。 だが、二つ目に関しては違う。基地で回収した、半壊の首輪。 壊れるほどの衝撃を与えたにも関わらず、首輪は爆発していない。 それに加え、あれほどの損傷を受けているため、容易に首から抜け落ちる。 つまり、この首輪は、首輪を外すという禁止行為にも抵触している。 何故この首輪は爆破されなかったのか? →首輪には更に複雑な爆破条件がある? →例えば死亡後は爆破せず? →明らかに死亡するようなダメージには敢えて反応せず? (アインストならば個々人の耐久力も熟知している可能性大) この問題に関しては私たちが知らない首輪のメカニズムが存在しているはず。 現段階では特定は不可能だが、そのメカニズムを逆手に取れば首輪解除に利用可能? ◆首輪に付いた赤い宝玉 宝玉の有無で首輪に変化? →中尉の話から首輪の制御装置の可能性も 中尉の話を聞く限り、この赤い宝玉はアインストの技術によって作られた物。 宝玉の破壊で変質した機体が元に戻るといった事例もある。制御装置の可能性大? 優先して調査の必要有り。 B-5で回収した首輪 →宝玉があるにもかかわらず通常の首輪とは異なる形状 →制御装置である宝玉が暴走? →時間の経過と共に形状の変化は続いている この首輪はイレギュラー的存在? 宝玉の暴走だとしても何らかの外部的要因は存在するはず。 今後の変化によっては爆弾としての機能を停止する可能性有り。変化を逆算することでオリジナルの推測も? ◆首輪解除に関しての今後の方針 内部の解析と赤い宝玉の機能解明 →半壊した首輪から内部機構を確認可能 →変質済み首輪の変化次第で宝玉の機能解明? ―――――――――――――――――――――――――― ―――――――――――――――――――――――――― ◆アインストの目的と今後の我々の行動方針 アインストの目的は? →過去のそれと変わっていないのなら人間という種の観察? →人間という種の抹殺を目的にするには非効率過ぎる 観察というなら首輪が適任ではある。首輪から生体情報を取得しているのなら、それが首輪爆破の条件に関与の可能性も。 たかだか数十人を殺すだけならばこのような大がかりな舞台を用意する必要も無い。 異なる世界から人間を集めたのは多様性の確保のためか? 我々の最終目的 →可能ならばアインストの打倒。最低でも脱出 →出来る限り多くの人間を救出 脱出について →四方を囲まれた空間(調査の必要有り) →脱出しても再び連れ戻される可能性(やはり打倒は必須か?) まずは首輪の解除と同時進行で同士を集める必要有り。 出来れば首輪の解除、この空間の調査、殺人者の撃退、他者の保護を複数のグループで分担。 この殺人ゲームに乗った人間に対抗するための戦力は必須。 今後の方針 →重要な拠点である基地を守りながら他者と接触 →ある程度の人数が揃った時点で複数のグループに分け各自で行動 ―――――――――――――――――――――――――― 「まだ足りない部分はあるが、今後の指標にはなるはずだ」 「さすがですね、ユーゼス! 何時の間にここまで考えてたのかしら」 「それはあくまで予想であり、決して真実ではない。重要なのはその場その場での判断だということを忘れてもらっては困る」 「ええ、分かっています。ですが……これは私たちの希望となりうるものです」 ユーゼスを真っ直ぐ見つめ、大きく頷くベガ。彼女は考える。 ……彼は確かに誤解されやすい。けれど、その願いは……生きて帰ろうとする意志は同じなんだと。 彼の無神経な振る舞いが仲間との衝突を招くかもしれないが、そこは自分が上手くフォローしなければならない。 それが仲間としてしなければいけないことだ。ユーゼスも私たちの仲間なのだから。 そして彼女は確信する。 ……ユーゼスがいれば、必ず生きて帰れる。 我が子のことを、思う。帰らなければいけない。死ぬわけにはいかない。 今の彼女にとって……ユーゼスは、まさに『道』に見えた。 【ユーゼス・ゴッツォ 搭乗機体:メディウス・ロクス(スーパーロボット大戦MX) パイロット状態:良好 機体状態:第二形態へ移行完了 良好 現在位置:G-6基地 第一行動方針:半壊した首輪の解析 第二行動方針:AI1の育成、バーニィへの『仕込み』 第三行動方針:首輪の解除 第四行動方針:サイバスターとの接触 第五行動方針:20m前後の機体の二人組みを警戒 最終行動方針:主催者の超技術を奪い、神への階段を上る 備考1:アインストに関する情報を手に入れました 備考2:首輪を手に入れました(DG細胞感染済み) 備考3:首輪の残骸を手に入れました(六割程度)】 【ベガ 搭乗機体:月のローズセラヴィー(冥王計画ゼオライマー) パイロット状態:良好(ユーゼスを信頼) 機体状態:良好 現在位置:G-6基地 第一行動方針:G-6基地の警護 第二行動方針:首輪の解析 第三行動方針:マサキの捜索 第四行動方針:20m前後の機体の二人組みを警戒 最終行動方針:仲間を集めてゲームから脱出 備考1:月の子は必要に迫られるまで使用しません 備考2:ユーゼスの機体を、『ゼスト』という名の見知らぬ機体だと思っています 備考3:ユーゼスのメモを持っています】 【バーナード・ワイズマン(機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争) 搭乗機体:なし パイロット状況:頭部に軽い傷(応急処置済み)、後ろ手で柱に縛りつけられている 現在位置:G-6基地地下発電所 機体状態: 第一行動方針:ユーゼスに協力するのか選択 最終行動方針:生き残る】 【メリクリウス(新機動戦記ガンダムW) 機体状況:良好 現在位置:G-6基地内部】 【二日目3 30】 BACK NEXT 何をもって力と成すのか 投下順 決意と殺意 これから 時系列順 何をもって力と成すのか BACK NEXT 謀 ―tabakari― ユーゼス 解し得ぬ存在 謀 ―tabakari― ベガ 解し得ぬ存在 謀 ―tabakari― バーニィ 解し得ぬ存在
https://w.atwiki.jp/suproy/pages/403.html
?? - 名無しさん (2024-07-09 22 53 43) digimon godzilla gamera zoids - 名無しさん (2024-08-04 20 04 41)
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/24.html
投下順に読む Opening~100 101~200 時系列順に読む 第一回放送まで 第二回放送まで 第三回放送まで 第四回放送まで 参加者ごとに読む キャラ別追跡表 No. タイトル 登場キャラ 登場機体 場所 時刻 作者 map 101 青い翼、白い羽根 アスランカテジナ ファルゲン・マッフラーゼフォン F-5 初日18 50 ◆vBGK6VSBWMさん 102 極めて近く、限りなく遠い世界の邂逅 クインシィガロード竜馬クルツ隼人エイジ 真ゲッター大雷鳳ラーズアングリフYF-19フォルテギガスガナドゥール B-3C-1C-8B-1 初日19 40 ◆960Bruf/Mwさん 103 例え死者は喜ばずとも ロジャーシンヤ 騎士鳳牙テッカマンエビル D-8C-8 初日19 25 ◆JF9sfJq3GEさん 104 獅子身中の虫 キョウスケゼクスカズイバーニィモンシアヒイロ孫光龍 ビルトファルケン(L)メディウス・ロクスブラックゲッターレプラカーン G-6 初日20 50 ◆WgWWWgbiY6さん 105 壁に耳あり、障子に目あり シャギアオルバ甲児比瑪バサラ ヴァイクランディバリウムナデシコプロトガーランド C-5 初日19 30 ◆960Bruf/Mwさん 106 大いなる誤解 キラテニアムサシマサキソシエ Jアークベルゲルミル(ウルズ機)RX-78-2ガンダム百式 C-6 初日21 30 ◆C0vluWr0soさん 107 暗い水の底で 統夜ラキ ヴァイサーガネリー・ブレン G-8F-8 初日21 00 ◆7vhi1CrLM6さん 108 星落ちて石となり カテジナアイビスシャア ラーゼフォンヒメ・ブレン核ミサイル F-1E-2F-2 初日21 00 ◆7vhi1CrLM6さん 109 Take a shot クルツ竜馬シンヤ ラーズアングリフ大雷鳳テッカマンエビル C-8 初日21 00 ◆C0vluWr0soさん 110 広がる波紋 ユーゼスベガカミーユキラテニアムサシマサキソシエ メリクリウス月のローズセラヴィーVF22S・Sボーゲル2FJアークベルゲルミル(ウルズ機)RX-78-2ガンダムアルトアイゼン D-6 初日21 40or22 30 ◆960Bruf/Mwさん 111 とある竜の恋の歌 アキトユリカロジャーガウルン YF-21ダイ騎士鳳牙マスターガンダム D-7 初日22 00 ◆C0vluWr0soさん 112 失われた刻を求めて アムロブンドルゴステロギンガナム VF-1Jバルキリー(ミリア機)サイバスタースターガオガイガーシャイニングガンダム A-1H-1 初日21 20 ◆C0vluWr0soさん 113 火消しと狼 キョウスケゼクスカズイ ビルトファルケン(L)メディウス・ロクス G-6 初日22 10 ◆7vhi1CrLM6さん 114 爆熱! ゴッド晩ごはん!! ギンガナム シャイニングガンダム H-1 初日22 00 ◆ZbL7QonnV.さん 115 鍵を握る者 噛合わない歯車(1)鍵を握る者 噛合わない歯車(2) キラソシエテニアムサシマサキアキトユリカロジャーガウルンシャギアオルバ甲児比瑪バサラ Jアークベルゲルミル(ウルズ機)RX-78-2ガンダムアルトアイゼンYF-21ダイ騎士鳳牙マスターガンダムヴァイクランディバリウムナデシコプロトガーランド D-7 二日目0 00or1 00 ◆7vhi1CrLM6さん 116 愛を取り戻せ アキトアルフィミィ アルトアイゼン ??? 二日目1 30 ◆ZbL7QonnV.さん 117 死人の呪い アイビス ヒメ・ブレン E-2 初日22 10 ◆960Bruf/Mwさん 118 我が道を走る人々 クインシィジョナサンガロード 真ゲッターガンダムF91 B-4 初日22 30 ◆C0vluWr0soさん 119 未知との遭遇 ユーゼスベガカミーユ メリクリウス月のローズセラヴィーVF-22・Sボーゲル2F B-5 初日22 30 ◆C0vluWr0soさん 120 Unlucky Color アムロブンドルギンガナムクルツアイビス ガナドゥールサイバスターシャイニングガンダムヒメ・ブレン B-1B-2 初日23 40 ◆7vhi1CrLM6さん 121 謀 ―tabakari― ユーゼスベガキョウスケカミーユバーニィ メリクリウス月のローズセラヴィービルトファルケン(L)VF-22・Sボーゲル2F G-6 二日目1 20 ◆7vhi1CrLM6さん 122 ・――言葉には力を与える能がある(1)・――言葉には力を与える能がある(2) キラソシエロジャーガウルンシャギアオルバ甲児比瑪テニアバサラムサシ Jアーク騎士鳳牙マスターガンダムヴァイクランディバリウムナデシコベルゲルミルプロトガーランドRX-78-2ガンダム D-6???D-7 二日目2 30 ◆C0vluWr0soさん 123 私は人ではない クインシィジョナサン竜馬ラキ 真ゲッター大雷鳳ネリー・ブレン C-6C-5 二日目0 30 ◆7vhi1CrLM6さん 124 吼えろ拳/燃えよ剣 アムロガロードギンガナムブンドル ストレーガガンダムF91シャイニングガンダムサイバスター B-1B-3 二日目3 00 ◆C0vluWr0soさん 125 心、千々に乱れて キョウスケカミーユカテジナ統夜 ビルトファルケン(L)VF-22・Sボーゲル2Fラーゼフォンヴァイサーガ G-8 二日目2 50 ◆7vhi1CrLM6さん 126 これから キョウスケカミーユ ビルトファルケン(L)VF-22・Sボーゲル2F G-8 二日目3 20 ◆C0vluWr0soさん 127 何をもって力と成すのか ロジャーキラソシエ 騎士鳳牙Jアーク E-3 二日目4 00 ◆7vhi1CrLM6さん 128 『未知』と『道』 ユーゼスベガバーニィ メディウス・ロクス月のローズセラヴィー G-6 二日目3 30 ◆C0vluWr0soさん 129 決意と殺意 アキト統夜 アルトアイゼンヴァイサーガ G-8A-7 二日目3 00or3 15 ◆pqQ1ngVOkgさん 130 Shape of my heart ―人が命懸けるモノ―(1)Shape of my heart ―人が命懸けるモノ―(2)Shape of my heart ―人が命懸けるモノ―(3)Shape of my heart ―人が命懸けるモノ―(4) アイビスクルツラキブンドルギンガナムガウルン ヒメ・ブレンラーズアングリフネリー・ブレンサイバスターシャイニングガンダムマスターガンダム D-3 二日目5 30 ◆7vhi1CrLM6さん 131 解し得ぬ存在 ユーゼスベガバーニィ竜馬 メディウス・ロクスローズセラヴィー大雷鳳 G-6 二日目4 30 ◆7vhi1CrLM6さん 132 ヘヴンズゲート ブンドル サイバスター D-3 二日目5 45 ◆ZbL7QonnV.さん 133 Withdrawal Symptoms アキトキョウスケカミーユ アルトアイゼンビルトファルケン(L)VF-22・Sボーゲル2F G-8 二日目4 15 ◆7vhi1CrLM6さん 134 それぞれの思惑 クインシィジョナサンアムロガロード 真ゲッターストレーガガンダムF91 B-1C-6 二日目4 50 ◆C0vluWr0soさん 135 夜明けの遠吠え シャギアオルバ比瑪甲児テニアバサラ ヴァイクランディバリウムナデシコベルゲルミルプロトガーランド C-8 二日目5 40 ◆7vhi1CrLM6さん 136 張り詰めすぎた少年 ロジャーキラソシエ 騎士凰牙Jアーク E-3 二日目5 45 ◆7vhi1CrLM6さん 137 アキトとキョウスケ アキトキョウスケ アルトアイゼンビルトファルケン(L) G-8 二日目5 05 ◆7vhi1CrLM6さん 138 決意の刃を鞘に潜ませ 統夜 ヴァイサーガ B-7 二日目5 20 ◆ruQu1a.CGoさん 139 ハンドベノン 竜馬ベガ 大雷凰ローズセラヴィー G-6 二日目4 40 ◆ZbL7QonnV.さん 140 穴が空く(1)穴が空く(2) ユーゼスベガカミーユバーニィ竜馬 メディウス・ロクスローズセラヴィーVF-22・Sボーゲル2F大雷凰メリクリウス G-6 二日目5 55 ◆7vhi1CrLM6さん 141 第二回放送 アルフィミィ なし 不明 二日目6 00 139さん 142 ゲッターロボ 竜馬 なし 不明 二日目??? ◆ZbL7QonnV.さん 143 戦いの矢(1)戦いの矢(2) クインシィジョナサン統夜アムロガロードガウルン 真ゲッターヴァイサーガガンダムF91ストレーガマスターガンダム C-8 二日目6 36 ◆ZqUTZ8BqI6さん 144 悪魔降臨・死の怪生物(インベーダー)たち アルフィミィ デビルガンダム 不明 二日目6 50 ◆ZbL7QonnV.さん 145 朝ごはんは一日の活力です!! シャギアオルバ比瑪甲児テニアバサラ ヴァイクランディバリウムナデシコベルゲルミルプロトガーランド C-8 二日目6 25 ◆7vhi1CrLM6さん 146 命の残り火 シャギア比瑪甲児バサラ統夜ガロードクインシィジョナサン ヴァイクランナデシコ旧ザクプロトガーランドヴァイサーガストレーガ真ゲッター C-8 二日目7 15 ◆7vhi1CrLM6さん 147 leaving me blue アキトキョウスケ アルトアイゼンビルトファルケン(L) G-7 二日目6 05 ◆ZqUTZ8BqI6さん 148 疾風、そして白き流星のごとく アムロブンドルガウルン統夜 ガンダムF91サイバスターマスターガンダムヴァイサーガ C-8D-8 二日目7 35 ◆VvWRRU0SzUさん 149 二つの依頼 ロジャーキラソシエ 騎士凰牙Jアーク E-2E-4 二日目6 55 ◆7vhi1CrLM6さん 150 選択のない選択肢 SIDE:A選択のない選択肢 SIDE:B 統夜ガウルン ヴァイサーガマスターガンダム C-8 二日目7 50 ◆7vhi1CrLM6さん 151 計算と感情の間で オルバテニア ディバリウムベルゲルミル C-7 二日目7 30 ◆C0vluWr0soさん 152 家路の幻像(1)家路の幻像(2) バーニィユーゼスカミーユキョウスケアキトベガ メディウス・ロクスVF-22・Sボーゲル2Fビルトファルケン(L)アルトアイゼン G-6 二日目6 35 ◆7vhi1CrLM6さん 153 適材適所 シャギア比瑪甲児バサラガロードクインシィ ヴァイクランナデシコプロトガーランドストレーガ真ゲッター C-8 二日目8 30 ◆YYVYMNVZTkさん 154 古よりの監査者 アルフィミィノイ・レジセイア デビルガンダム ネビーイーム 二日目7 45 ◆7vhi1CrLM6さん 155 追い詰められる、心 統夜ガウルン ヴァイサーガマスターガンダム C-8 二日目9 00 ◆YYVYMNVZTkさん 156 争いをこえて オルバテニアロジャーソシエ ディバリウムベルゲルミル騎士凰牙 E-6 二日目8 40 ◆7vhi1CrLM6さん 157 判り合える心も 判り合えない心も シャギアガロード比瑪バサラクインシィ甲児ブンドル ヴァイクランナデシコプロトガーランド真ゲッターストレーガサイバスター C-8D-8 二日目9 10 ◆7vhi1CrLM6さん 158 黄金の精神 アムロキラアイビス ガンダムF91Jアークネリー・ブレン D-3 二日目9 00 ◆VvWRRU0SzUさん 159 風と雷 ブンドル甲児 サイバスターストレーガ E-7 二日目10 00 ◆ZbL7QonnV.さん 160 すべて、撃ち貫くのみ(1)すべて、撃ち貫くのみ(2) ユーゼスアキトカミーユキョウスケバーニィアルフィミィノイ・レジセイア メディウス・ロクスブラックゲッターVF-22・Sボーゲル2FゲシュペンストMkⅢデビルガンダム F-7G-5G-6ネビーイーム 二日目7 55 ◆VvWRRU0SzUさん 161 生き残る罪 キョウスケテニアオルバ ゲシュペンストMkⅢベルゲルミルディバリウム G-6G-5 二日目9 30 ◆7vhi1CrLM6さん 162 最後まで掴みたいもの ユーゼスアキト メディウス・ロクスブラックゲッター F-7 二日目8 55 ◆YYVYMNVZTkさん 163 仮面の奥で静かに嗤う ユーゼスアキトブンドル甲児 メディウス・ロクスブラックゲッターサイバスターストレーガ E-6E-7 二日目11 00 ◆VvWRRU0SzUさん 164 揺れる心の錬金術師 アルフィミィ デビルガンダム ネビーイーム 二日目8 50 ◆7vhi1CrLM6さん 165 変わりゆくもの シャギアガロード比瑪バサラクインシィ ヴァイクランナデシコプロトガーランド真ゲッター B-1 二日目10 30 ◆YYVYMNVZTkさん 166 交錯線(1)交錯線(2) ロジャーソシエガウルン統夜 騎士凰牙マスターガンダムヴァイサーガ D-7 二日目10 30 ◆7vhi1CrLM6さん 167 獲物の旅 カミーユテニア VF-22・Sボーゲル2Fベルゲルミル F-4G-3 二日目10 20 ◆VvWRRU0SzUさん 168 獣の時間(1)獣の時間(2) アムロキラアイビスカミーユ ガンダムF91Jアークネリー・ブレンVF-22・Sボーゲル2F D-3 二日目12 00 ◆VvWRRU0SzUさん 169 天使再臨 ユーゼスアキト メディウス・ロクスラーゼフォンブラックゲッター G-8 二日目11 50 ◆VvWRRU0SzUさん 170 Lonely Soldier Boys &girls シャギアガロード比瑪バサラクインシィテニア統夜ガウルン ヴァイクランナデシコプロトガーランド真ゲッターマジンガーZベルゲルミルヴァイサーガマスターガンダム F-1 二日目12 20 ◆ZqUTZ8BqI6さん 171 遺されたもの ロジャーソシエ 騎士凰牙恐竜ジェット機ガナドゥール B-1 二日目11 40 ◆VvWRRU0SzUさん 172 膨れ上がる悪夢 キョウスケ ゲシュペンストMkⅢ G-6 二日目12 30 ◆ZqUTZ8BqI6さん 173 破滅の足音 アムロキラアイビスカミーユブンドル甲児 ガンダムF91Jアークネリー・ブレンVF-22・Sボーゲル2Fサイバスターストレーガ D-3E-2 二日目13 15 ◆7vhi1CrLM6さん 174 心の天秤 シャギアガロードバサラクインシィガウルン ヴァイクランナデシコプロトガーランド真ゲッターマジンガーZマスターガンダム F-1 二日目14 00 ◆YYVYMNVZTkさん 175 Stand by Me テニア統夜 ベルゲルミルヴァイサーガ H-1 二日目14 30 ◆YYVYMNVZTkさん 176 驕りと、憎しみと ユーゼスアキト メディウス・ロクスラーゼフォンブラックゲッター G-1 二日目14 15 ◆7vhi1CrLM6さん 177 かくして漢は叫び、咆哮す シャギアガロードバサラクインシィガウルンアキト ヴァイクランナデシコプロトガーランド真ゲッターマジンガーZマスターガンダムブラックゲッター F-1 二日目14 40 ◆7vhi1CrLM6さん 178 王の下に駒は集まる ユーゼステニア統夜 メディウス・ロクスラーゼフォンベルゲルミルヴァイサーガ H-1 二日目14 45 ◆VvWRRU0SzUさん 179 怒れる瞳(1)怒れる瞳(2)戦場に響く歌声(1)戦場に響く歌声(2)世界を止めて(1)世界を止めて(2)眠れる基地の魔王、悪が振るう剣 シャギアアイビス甲児キラロジャーソシエブンドルバサラ竜馬ガロードクインシィアキトユーゼスアムロカミーユガウルンテニア統夜キョウスケアルフィミィ ヴァイクランネリー・ブレンストレーガ騎士凰牙ガナドゥールサイバスターラーゼフォン真・ゲッターマジンガーZナデシコ旧ザクプロトガーランドブラックゲッターメディウス・ロクスガンダムF91VF-22・Sボーゲル2FJアークシャイニングガンダムマスターガンダムペガスダイゼンガーベルゲルミルヴァイサーガゲシュペンストMkⅢデビルガンダム A-1D-3E-1F-1G-6ネビーイーム 二日目15 05or15 30 ◆VvWRRU0SzUさん 180 見よ人の心の光! 輝き唸る神の掌! アムロカミーユギンガナム ガンダムF91VF-22・Sボーゲル2FJアークシャイニングガンダム D-3 二日目16 00 ◆ZqUTZ8BqI6さん 181 排撃者――表排撃者――裏 ガウルンテニア統夜キョウスケアルフィミィ ダイゼンガーベルゲルミルヴァイサーガゲシュペンストMkⅢデビルガンダム A-1F-6ネビーイーム 二日目16 10 ◆ZqUTZ8BqI6さん 182 時の結実――すなわち成長 シャギアアイビス甲児キラロジャーソシエブンドルバサラユーゼスアキト ネリー・ブレンストレーガガナドゥール騎士鳳牙サイバスターラーゼフォンメディウス・ロクスブラックゲッター D-2F-1 二日目16 50 ◆ZqUTZ8BqI6さん 183 闇の彼方に伸ばす指先 アムロカミーユキラアイビス甲児ソシエロジャーブンドルバサラシャギア ガンダムF91VF-22S・SボーゲルJアークネリー・ブレンストレーガガナドゥール騎士鳳牙サイバスターラーゼフォン D-3 二日目18 00 ◆VvWRRU0SzUさん 184 もう一つの対主催 ユーゼスアキトガウルン統夜テニア メディウス・ロクスブラックゲッターダイゼンガーヴァイサーガベルゲルミル A-1 二日目18 00 ◆YYVYMNVZTkさん 185 第三回放送 アルフィミィ デビルガンダム ネビーイーム 二日目18 00 ◆ZqUTZ8BqI6さん 186 貫け、奴よりも速く キョウスケ ゲシュペンストMkⅢ D-7 二日目18 00 ◆VvWRRU0SzUさん 187 伏せた切り札 全ては己が目的のために ユーゼスアキトガウルン統夜テニア メディウス・ロクスブラックゲッターダイゼンガーヴァイサーガベルゲルミル B-2A-2 二日目18 30 ◆ZqUTZ8BqI6さん 188 銃爪は俺が引く ユーゼスアキト メディウス・ロクスブラックゲッター B-2 二日目19 00 ◆VvWRRU0SzUさん 189 life goes on(1)life goes on(2) アムロカミーユキラアイビス甲児ソシエロジャーブンドルバサラシャギアキョウスケ ガンダムF91VF-22S・SボーゲルJアークネリー・ブレンストレーガガナドゥール騎士鳳牙サイバスターラーゼフォンゲシュペンストMkⅢ D-3 二日目20 00 ◆XrXin1oFz6さん 190 moving go on(1)moving go on(2)moving go on(3)moving go on(4) アムロカミーユアイビス甲児ロジャーシャギアキョウスケ ガンダムF91VF-22S・Sボーゲルネリー・ブレンストレーガガナドゥールフォルテギガス騎士鳳牙サイバスターゲシュペンストMkⅢ D-3 二日目20 30 ◆XrXin1oFz6さん 191 Alchimie , The Other Me ノイ・レジセイアアルフィミィアルフィミィ デビルガンダムペルゼイン・リヒカイト ネビーイーム 二日目20 30 ◆XrXin1oFz6さん 192 竜が如く ガウルンテニア統夜アルフィミィ ダイゼンガーヴァイサーガベルゲルミル H-3 二日目20 45 ◆VvWRRU0SzUさん 193 Alter code Fire2nd IgnitionAdvanced 3rdAdvanced 3rd(2)The 4th DetonatorThe 4th Detonator(2)The 5th Vanguard ガウルン統夜テニアユーゼスアキトカミーユアイビスロジャーシャギアソシエバサラキラアルフィミィ ダイゼンガーヴァイサーガベルゲルミルメディウス・ロクスブラックゲッターF91Jアークネリー・ブレン騎士鳳牙サイバスターラーゼフォンアルトアイゼン・リーゼデビルガンダム E-3ネビーイーム 三日目2 00 ◆VvWRRU0SzUさん 194 彼方よりの帰還 カミーユアイビスロジャーアキト統夜ノイ・レジセイアAI1 サイバスターネリー・ブレン騎士凰牙アルトアイゼン・リーゼヴァイサーガペルゼイン・リヒカイトデュミナス ネビーイーム 三日目2 30 ◆7vhi1CrLM6さん 195 楽園からの追放者(1)楽園からの追放者(2) 統夜アキトロジャー ヴァイサーガアルトアイゼン・リーゼ騎士鳳牙 ネビーイーム 三日目2 45 ◆VvWRRU0SzUさん 196 ネクスト・バトルロワイアル(1)ネクスト・バトルロワイアル(2)ネクスト・バトルロワイアル(3)ネクスト・バトルロワイアル(4)ネクスト・バトルロワイアル(5)ネクスト・バトルロワイアル(6)ネクスト・バトルロワイアル(7)ネクスト・バトルロワイアル(8)ネクスト・バトルロワイアル(9) カミーユアイビスロジャーアキト統夜ノイ・レジセイアAI1 サイバスターネリー・ブレン騎士凰牙アルトアイゼン・リーゼヴァイサーガペルゼイン・リヒカイトデュミナス ネビーイーム 三日目??? ◆XrXin1oFz6さん
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/280.html
ガンダムファイト ◆op3oYkZryw ビームの火線が森を焼き、ビームの帯が大木を切り裂く。 人の手が入っていない密林の中で二体の巨人がワルツを踊る。 立ち込める黒煙。燃え上がる木々。MSとMFの駆動音。 だが、森の中でマスターガンダムを駆るガウルンにとってはこの戦場はとても神聖なものであり 彼の生きるべき世界である。 そんな彼をもってしてもガンダムレオパルドデストロイを駆るギャリソン時田は容易に刈り取ることが できない相手であった。 (ちっ。老いぼれのくせに思った以上にやるじゃねえか) 彼は襲ってくるブレストガトリングを避けながらダークネスショットを撃つ、だが向こうは当然のように 避け再びセパレートミサイルを撃ってくる。 ガウルンはやりづらいと思った。遠距離装備の碌についていないこの機体ではこのままでは向こうに 押し切られてしまうだろう。 「弾切れまで凌ぐか?」 コクピットの中でそう呟き。自分の甘い考えに心の中で唾を吐く。 (いつからそんな甘い考えをするようになったんだ?ガウル~ン) 突然攻撃が止む。だが、経験から弾切れとは思わなかった。おそらく向こうは残弾も少なく 味方を追うために一気に勝負を決めるつもりだろう。 (いいぜ。乗ってやろうじゃないか、じいさん!!) ガウルンはブースターを噴かせマスターガンダムをレオパルドデストロイに突撃させる。 リストビーム砲とビームシリンダーによる砲撃が襲いくる。 だが、ガウルンはそれらをマスターガンダムのマント型シールドで受け止めながら敵機に近づく。 「ダークネスゥゥゥゥゥゥゥゥゥフィンガァァァァァァァァァァァァ」 そして、シールドが破壊されると同時に左腕のダークネスフィンガーを相手に叩きつける。 だが、レオパルドは右腕に持ったヒートアックスで受け止める。 「右腕を忘れちゃいけないぜ!!」 そうして、左腕がビームシリンダーで塞がった機体の胴体に右腕を叩きつけようとする。 だが、ビームシリンダーの側面から突然生えた光に受け止められた。 ギャリソンがあらかじめ右手に持っていたビームナイフを無理矢理機動させたのである。 「なに!!」 「ほっほっほっ、予測済みでございます」 そうして、レオパルドは至近距離でホーネットミサイルを叩きつける。 それはマスターガンダムの胴体に直撃し、機体を吹き飛ばす。ギャリソンは距離をとりマスターガンダムに 全弾を叩き込もうとする。 ガウルンは起き上がろうとしたが疲労と癌の痛みにより立ち上がることができずに襲ってくるであろう衝撃 に身を硬くする。 (ここまでか?) まるでこれまでの思い出が走馬灯のように思い出される。 幼いころから戦争漬けだったこと、名が知れ渡る頃には殺した数が四桁を優に超えていたこと。 (ああ、結構楽しい人生だったじゃねえか) 自分と同じようにカシムが死体を処理していた姿を始めて見たこと、カシムが宿にしていた村を 焼き払ったこと、カシムとカリーニンに雪辱戦を仕掛けられ額に銃弾が撃ち込まれ間一髪助かったこと、 カシムがガールフレンドと共に自分から逃げ出したこと、カシムが腑抜けた奴らを守るため自分と戦ったこと。 そして、コダールと共に海に投げ出され気が付いたらここにいたことが。 (まだだ、まだ死ねねぇ!!) こんな老いぼれに殺されている場合ではない。自分は愛しいカシムに会わなければいけないのだ。 そう想うと力尽きたはずの体に力が満ち溢れる。そうして殺到する砲撃に右手を向ける。 「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」 右手から黒光が溢れると共に巨大な黒球ができ、砲撃が黒球に押し止められる。 「な、なんと!!」 「喰らいやがれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」 そのままレオパルドに向けて高速で黒球を押しだす。レオパルドはそれを両手で受け止めたがあまりの力に 押されてしまう。 「ぬぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅん!!はぁ!!!」 だが、バレーボールのトスのようにそれを打ち上げる。黒球は上空で爆発した。 「チェックメイトだぜ。じいさ~ん」 レオパルドのコクピットにディスタントクラッシャーが突き刺さる。 それは黒球が弾かれる直後に撃ち出された為にギャリソンは避けることが適わなずに 断末魔すら挙げることができなかった。 「さて、どうすっかなこれから」 そうは言ったもののすでにやる事は決まっていた。あの腑抜けてしまったカシムを元に戻せねばならない。 聖人の目をしたカシムを殺す自分、殺される自分、犯す自分、犯される自分。 どういう結末を迎えるにしてもそれ以外の最後など自分にはありえない。 そのためにはここからなんとしてでも生き残ろう、ついでにあのフロアで見かけた奴のお友達の首も 持っていこう、少しは腑抜け具合が治るかもしれない。 そんなことを考えながら敵機から斧や銃火器等の使えそうな装備を取り外す。 「流石にこいつは規格が合わねえか」 そう思いながらビームナイフを弄っているとそれをマスターガンダムの腕が取り込み始めた。 「なんだ?」 半分ほど取り込むとすぐに元に戻り刃が発生する。 「こいつはいいな」 そして、ツインビームシリンダーを両肩に当てて見る、すると歪ながらも引っ付き 徐々にだが変形し始める。 「ハッ!大した玩具だ」 まるで魔法である。体の方もどういう理屈か分からないが頭に仕込んだチタン合金の部分と義足が妙な金属質 の細胞に覆われ癌による痛みも何時の間にか消えている。 「まったくマスターガンダム様々って所か」 そう思いその場を後にしようとしたが転がる敵機が目に入る。 コクピットが破壊され使い物にならない機体である。 このままでは後ろで発生している火事に巻き込まれるだろう。 「カシムの野郎なら念のためとか言ってぶっ潰すんだろうが…」 あることを思いつきそれを実行することにする。 それは、マスターガンダムの破片を機体のコクピットに埋め込み妙な現象を誘発させることである。 こうすればこの機体は使い物になるかもしれない。 「カシム、舌なめずりは三流とかいうけどよ。一度しかない人生を楽しまなくっちゃ損だぜ」 もし、この機体が火事を生き残ることができればきっと楽しいドラマが待っていることだろう。 そうしてガウルンは休憩場所を探すためその場を後にした。 【ガウルン 搭乗機体:マスターガンダム(機動武闘伝Gガンダム) パイロット状況:疲労大、DG細胞感染、気力120 機体状況:全身に弾痕多数、胸部装甲破損、マント消失、ダメージ蓄積、DG細胞感染、損傷自動修復中 ビームナイフとヒートアックス装備、両肩にツインビームシリンダーを搭載(残弾なし)】 現在位置:B-5密林 第一行動方針:自分と乗機の休息 第二行動方針:近くにいる敵機を攻撃 第三行動方針:皆殺し 第四行動方針:できればクルツの首を取りたい 最終行動方針:元の世界に戻って腑抜けたカシムを元に戻す 備考:九龍の頭に埋め込まれたチタン板、右足義足、癌細胞はDG細胞に同化されました】 【ギャリソン時田 搭乗機体:ガンダムレオパルドデストロイ(機動新世紀ガンダムX) パイロット状況:圧死 機体状況:両手ボロボロ、コクピット破壊、全武装弾切れ、 ヒートアックスとビームナイフとツインビームシリンダーは非装備、DG細胞感染? 現在位置:B-5密林 備考:B-5密林で火事発生。レオパルドにDG細胞が感染したかどうかは次の書き手に任せます】 【初日 17:55】 本編78話 ガンダムファイト
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/23.html
投下順に読む Opening~50? 51~100 101~150? 時系列順に読む 第一回放送まで 第二回放送まで 参加者ごとに読む No. タイトル 登場キャラ 登場機体 場所 時刻 作者 51 核ミサイルより強い武器 テニアムサシ ベルゲルミル(ウルズ機)RX-78-2ガンダム F-8 初日15 00 ◆w4z2Zc6V4Mさん 52 東北東に進路を取れ ジョナサンキラ JアークガンダムF-91 B-4 初日12 55 ◆eK/Y5OG4jwさん 53 死活問題 シンヤロジャーリリーナ テッカマンエビル騎士鳳牙ヴァルハラ D-7 初日15 30 ◆Nr7qwL8XuUさん 54 淡い記憶と、現実 統夜 ヴァイサーガ A-1 初日15 30 ◆w4z2Zc6V4Mさん 55 迷いの行く先 アスランヒイロ ファルゲン・マッフレイダーガンダム F-6 初日15 50 ◆vQm.UvVUE.さん 56 殺意は昏き火が如く リョウ 大雷鳳 C-8 初日13 30 ◆ZbL7QonnV.さん 57 カフェタイム ―あんたらつくづく…― カテジナギャリソンコスモ プロトガーランドガンダムレオパルドデストロイジガンスクード・ドゥロ C-5 初日15 00 ◆dHWlzxs/ngさん 58 気になる、あの子 アキトユリカ YF-21ダイ D-7 初日15 30 ◆caxMcNfNrgさん 59 我が道を往く人々 バサラガウルン ラーゼフォンマスターガンダム B-5 初日16 00 ◆IA.LhiwF3Aさん 60 薄氷の同盟 アスランヒイロ九鬼 ファルゲン・マッフレイダーガンダムドラグナー2型カスタム F-6 初日16 00 ◆T6.9oUERykさん 61 戦場の帰趨 バーニィモンシア ブラックゲッターガンダムヘビーアームズ改 G-6 初日17 40 ◆ZimMbzaYEYさん 62 混乱 クインシィガロード統夜ギンガナム 真ゲッターヴァイサーガシャイニングガンダム B-1 初日16 40 ◆T6.9oUERykさん 63 出会いと再会 ユーゼスベガキョウスケ アルトアイゼン月のローズセラヴィービルトファルケン(L) D-4 初日16 00 ◆caxMcNfNrgさん 64 護るべきもの ロジャーリリーナアキトユリカ綾人 騎士鳳牙ヴァルハラYF-21ダイアルトロンガンダム D-7 初日16 20 ◆T6.9oUERykさん 65 パンがなければお菓子をお食べ ソシエシンヤ ドスハードテッカマンエビル D-7 初日16 15 ◆ZimMbzaYEYさん 66 アンチボディー ―半機半生の機体― ジョシュアアイビス統夜ギンガナムクインシィガロード隼人 クインシィ・グランチャーヒメ・ブレンヴァイサーガシャイニングガンダム真イーグル号真ジャガー号YF-19真ベアー号 H-2H-1A-2B-1 初日17 45 ◆Nr7qwL8XuUさん 67 いい人たち シャギアオルバ甲児比瑪 ヴァイクランディバリウムナデシコペガス D-3 初日16 00 ◆T6.9oUERykさん 68 引き合う風 ブンドルマサキカミーユゼクスカズイ サイバスター百式メリクリウスメディウス・ロクス D-5 初日16 00 ◆y12NUCIPVsさん 69 コーヒーブレイク 孫光龍 レプラカーン A-8 初日17 00 ◆ZbL7QonnV.さん 70 悪運 キョウスケユーゼスベガ ビルトファルケン(L)アルトアイゼン月のローズセラヴィー D-4 初日16 30 ◆ZbL7QonnV.さん 71 ふりまわされる人、ふりまわす人 アムロシャアエイジラキクルツ VF-1Jバルキリー(ミリア機)核ミサイルフォルテギガスネリー・ブレンラーズアングリフ H-2A-2 初日17 00 ◆ZimMbzaYEYさん 72 遥か高くに翼は舞い ブンドルマサキカミーユゼクスカズイ サイバスター百式メリクリウスメディウス・ロクス D-5 初日16 45 ◆ZbL7QonnV.さん 73 『歌』に振り回される人達 ガウルンカテジナギャリソンコスモバサラ マスターガンダムラーゼフォンガンダムレオパルドデストロイジガンスクード・ドゥロプロトガーランド B-5 初日17 20 ◆6OiAlncQEさん 74 堕ちた少女 カティアテニアムサシ VF-22S・Sボーゲル2Fベルゲルミル(ウルズ機)RX-78-2ガンダム D-6 初日17 10 ◆ZimMbzaYEYさん 75 それぞれの立場 それぞれの道 ロジャーリリーナアキトユリカソシエシンヤリョウ 騎士鳳牙ヴァルハラYF-21ダイドスハードテッカマンエビル大雷鳳 D-7 初日17 00 ◆Nr7qwL8XuUさん 76 血に飢えた獣達の晩餐 ロジャーユリカソシエシンヤリリーナアキトリョウ 騎士鳳牙ダイドスハードテッカマンエビルヴァルハラYF-21大雷鳳 D-7D-8A-6B-6 初日17 40or17 55 ◆Nr7qwL8XuUさん 77 彼らの乗機は強力です シャギアオルバ甲児比瑪ジョナサンキラ ヴァイクランディバリウムナデシコJアークガンダムF-91 D-3 初日17 00 ◆OWmug8uCwさん 78 ガンダムファイト ガウルンギャリソン マスターガンダムガンダムレオパルドデストロイ B-5 初日17 55 ◆op3oYkZrywさん 79 第一回放送 アルフィミィ なし 不明 初日18 00 ◆9NAb4urvjAさん 80 任務……了解 アスランヒイロ九鬼 ファルゲン・マッフレイダーガンダムドラグナー2型カスタム F-4G-6 初日18 10 ◆RmVnSh2jvgさん 81 煮えきらぬ者 バーニィ ブラックゲッター G-6 初日18 10 ◆960Brut/Mwさん 82 オーガニックな機体とニュータイプの邂逅 アムロシャアアイビス VF-1Jバルキリー(ミリア機)核ミサイルヒメ・ブレン H-2 初日18 30 ◆9NAb4urvjAさん 83 殺し合い 統夜 ヴァイサーガ G-1 初日18 20 ◆T0SWefbzRcさん 84 テニア日誌 テニアムサシ ベルゲルミル(ウルズ機)RX-78-2ガンダム D-6 初日18 05 ◆Nr7qwL8XuUさん 85 依頼主死すとも依頼は死なず ロジャー 騎士鳳牙 D-8 初日18 05 ◆pqQ1ngVOkgさん 86 キラ ジョナサンキラ JアークガンダムF-91 C-5 初日18 15 ◆vQm.UvVUE.さん 87 巨虫、岩を打ち抜いて 孫光龍 レプラカーン A-8 初日18 20 ◆vBGK6VSBWMさん 88 類(仮面)は友(仮面)を呼ぶ ユーゼスベガカミーユキョウスケゼクスカズイ アルトアイゼン月のローズセラヴィーメリクリウスビルトファルケン(L)メディウス・ロクス D-4E-5 初日18 10 ◆ZimMbzaYEYさん 89 騎士の美学 ブンドル サイバスター G-5 初日18 20 ◆C0vluWr0soさん 90 追う鬼、追われる鬼 ユリカソシエ ダイ D-7 初日19 20or19 30 ◆caxMcNfNrgさん 91 歌えなくなったカナリア キラジョナサンバサラコスモ JアークガンダムF-91プロトガーランドジガンスクード・ドゥロ C-6C-5 初日18 55 ◆WgWWWgbiY6さん 92 少女ハンター・ランドール マサキソシエ 百式 D-7 初日20 30 ◆9NAb4urvjAさん 93 赤と流星、白と勇者王 ゴステロアムロシャアアイビス スターガオガイガーVF-1Jバルキリー(ミリア機)核ミサイルヒメ・ブレン H-2G-2 初日19 30 ◆C0vluWr0soさん 94 Time Over ―私の中のあなたにさよならを― ラキエイジクルツ ネリー・ブレンフォルテギガスラーズアングリフ A-2 初日18 20 65さん 95 嵐の前 キラ Jアーク C-6 初日19 05 ◆/.Cqqep.oIさん 96 MISS ジョナサン ガンダムF-91 B-4 初日21 25 ◆/.Cqqep.oIさん 97 ゲスト集いて宴は始まる モンシアヒイロバーニィ孫光龍九鬼 レイダーガンダムブラックゲッターレプラカーンドラグナー2型カスタム G-6 初日19 50 ◆I4R7vnLM4wさん 98 もしも、その時は キラテニアムサシ Jアークベルゲルミル(ウルズ機)RX-78-2ガンダム C-6 初日19 50 ◆vBGK6VSBWMさん 99 休息 アキトガウルン YF-21マスターガンダム C-5 初日19 40 ◆960Brut/Mwさん 100 マイペース二人 ラキギンガナム ネリー・ブレンシャイニングガンダム G-8H-8 初日20 00 ◆aalWSIpMG2さん
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/182.html
月のローズセラヴィー 機体名 月のローズセラヴィー 全長 52.3m 主武装 ビーム 指、胸、脚など、全身に搭載されたビーム砲。 ルナ・フラッシュ ビームを指先に集約させて、カタナのように攻撃を繰り出す。 Jカイザー 月のローズセラヴィー最強の攻撃。分離した背部と両腕の装甲を組み合わせて巨大な砲身を作り出し、超大出力のビームを放つ。威力は強大だが全エネルギーを撃ち放つため、エネルギーのチャージは必須。 特殊装備 エネルギーチャージシステム “月の子”らを空高く飛ばし、気象を操り空に雷雲を形成。天高く飛ばした“月の子”を通じて、雷のエネルギーを自機に送るシステム。これにより消費したエネルギーを一気に全快させる事が可能となっている。“月の子”らの数は合計で三基。“月の子”は一度の使用によって使用不可能となる。 移動可能な地形 空中× 陸地○ 水中△ 地中× 備考 ビームを主武装とする八卦ロボの一機。くれぐれも、沢のローズセラヴィーと呼んではならない。元々は次元連結システムのレプリカが搭載される予定であったが、木原マサキの裏切りによってシステムは破壊。激し過ぎるエネルギーの消費を抑える為に、チャージシステムが用いられる事となった。